とある禁書の二次創作
□絶対迷宮グリム 学舎の園と幻の家族【読切版】
1ページ/5ページ
ある晴れた日のこと。
とある田舎村で暮らす幸せな家族がありました。
ヘンリエッタ「………あ、朝だわ」
時刻は5時30分。
早起き以外の何ものでもない時間帯に、ヘンリエッタ=グリムは目を覚ました。
夢魔「相変わらず早起きなんだな。夢の世界の方が気持ちがいいのに……」
ヘンリエッタの部屋に、一匹の黒猫が入り込み、口を開いた。
厳密には、彼は黒猫から進化を遂げた夢の世界を統べる悪魔。
インキュバスの夢魔なのである。
ヘンリエッタ「おはよう、夢魔!」
夢魔「…………おはよう…」
ヘンリエッタは夢魔を抱きかかえて部屋を出る。
天真爛漫なヘンリエッタの笑顔には、どうしても敵わない様子だ。
リビングに顔を出すと、家族である兄弟たちが朝食の準備をしていた。
ヤーコプ「おはよう。今日も随分と早いんだな」
彼はグリム家の長男、ヤーコプ=グリム。
カップに注がれたコーヒーを飲みながら、朝の読書を楽しんでいた。
ルートヴィッヒ「そう言うヤーコプ兄さんが一番の早起きじゃないですか。あ、おはよう、ヘンリエッタ」
彼はルートヴィッヒ=グリム。
グリム家の三男であり、ヘンリエッタの従兄妹兼幼馴染だ。
ヴィルヘルム「は〜いはい。お喋りはそこまでだよ。おはよう、ヘンリエッタ。朝食の準備が整ったよ」
ヘンリエッタ「おはよう兄さんたち! あぁ、いい香り……」
夢魔(こいつら、揃いも揃って早過ぎだろ……)
朝食の準備を整えたのは、グリム家の次男。
名をヴィルヘルム=グリム。
グリム家の四人と一匹の朝食が、今日も楽しく、そして賑やかに始まった。
ルートヴィッヒ「ヴィルヘルム兄さん、マーガリンを取ってください」
ヴィルヘルム「はい、どうぞ」
ヤーコプ「こら、ヘンリエッタ。スープを零しては服が汚れてしまうよ?」
ヘンリエッタ「わ、わわ! ありがとう、ヤーコプ兄さん」
ヴィルヘルム「夢魔、シロップのおかわりは?」
夢魔「…………頼む」