とある禁書の二次創作

□絶対迷宮グリム 学舎の園と幻の家族【読切版】
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 ある晴れた日のこと。

 とある田舎村で暮らす幸せな家族がありました。

ヘンリエッタ「………あ、朝だわ」

 時刻は5時30分。

 早起き以外の何ものでもない時間帯に、ヘンリエッタ=グリムは目を覚ました。

夢魔「相変わらず早起きなんだな。夢の世界の方が気持ちがいいのに……」

 ヘンリエッタの部屋に、一匹の黒猫が入り込み、口を開いた。

 厳密には、彼は黒猫から進化を遂げた夢の世界を統べる悪魔。

 インキュバスの夢魔なのである。

ヘンリエッタ「おはよう、夢魔!」

夢魔「…………おはよう…」

 ヘンリエッタは夢魔を抱きかかえて部屋を出る。

 天真爛漫なヘンリエッタの笑顔には、どうしても敵わない様子だ。

 リビングに顔を出すと、家族である兄弟たちが朝食の準備をしていた。

ヤーコプ「おはよう。今日も随分と早いんだな」

 彼はグリム家の長男、ヤーコプ=グリム。

 カップに注がれたコーヒーを飲みながら、朝の読書を楽しんでいた。

ルートヴィッヒ「そう言うヤーコプ兄さんが一番の早起きじゃないですか。あ、おはよう、ヘンリエッタ」

 彼はルートヴィッヒ=グリム。

 グリム家の三男であり、ヘンリエッタの従兄妹兼幼馴染だ。

ヴィルヘルム「は〜いはい。お喋りはそこまでだよ。おはよう、ヘンリエッタ。朝食の準備が整ったよ」

ヘンリエッタ「おはよう兄さんたち! あぁ、いい香り……」

夢魔(こいつら、揃いも揃って早過ぎだろ……)

 朝食の準備を整えたのは、グリム家の次男。

 名をヴィルヘルム=グリム。

 グリム家の四人と一匹の朝食が、今日も楽しく、そして賑やかに始まった。

ルートヴィッヒ「ヴィルヘルム兄さん、マーガリンを取ってください」

ヴィルヘルム「はい、どうぞ」

ヤーコプ「こら、ヘンリエッタ。スープを零しては服が汚れてしまうよ?」

ヘンリエッタ「わ、わわ! ありがとう、ヤーコプ兄さん」

ヴィルヘルム「夢魔、シロップのおかわりは?」

夢魔「…………頼む」
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