とある禁書の二次創作
□サイエンス・バレンタイン
1ページ/4ページ
その@
御坂美琴は焦っていた。
2月14日、バレンタインデー。
女性が男性にチョコレートを贈る日として知られる本日。
美琴の手に、チョコレートらしきものはなかった。
御坂美琴「ハァ……ハァ……。もぅ…どこ行ったのかしら……」
走る足を止めず、美琴は走り続けた。
海原光貴は焦っていた。
2月14日、バレンタインデー。
女性が男性にチョコレートを贈る日として知られる本日。
海原の手に、チョコレートと思われる可愛らしい包みがあった。
海原光貴「ど、どうしたら……。自分は、何ということを……ッ」
しかし、その表情には喜びが見られなかった。
海原が持っていたのは、美琴のチョコレート。
あの少年に渡すであろうチョコレートを、海原は無我夢中で奪い取ってしまったのだ。
海原光貴「こ、このままでは……。自分は御坂さんを悲しませることに……。いえ、そればかりか。嫌われでもしたら……ッ」
その時、ヒラりと包みからメッセージカードが落ちた。
海原光貴「……え?」
その表には……。
美琴は走るのを止めていた。
よく考えれば、走る必要も焦ることもなかった。
御坂美琴「あの性格じゃ、中身を開けずに返しに来るだろうし……。逆に中身を見たら、返される理由もなくなるか」
美琴は踵を返すと、そのまま学生寮へと戻っていく。
御坂美琴「ハッピーバレンタイン、海原さん」
メッセージカードの宛名書きを読んだ海原が、この上なく歓喜したのは言うまでもない。