とある禁書の二次創作

□サイエンス・バレンタイン
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 その@



 御坂美琴は焦っていた。

 2月14日、バレンタインデー。

 女性が男性にチョコレートを贈る日として知られる本日。

 美琴の手に、チョコレートらしきものはなかった。

御坂美琴「ハァ……ハァ……。もぅ…どこ行ったのかしら……」

 走る足を止めず、美琴は走り続けた。



 海原光貴は焦っていた。

 2月14日、バレンタインデー。

 女性が男性にチョコレートを贈る日として知られる本日。

 海原の手に、チョコレートと思われる可愛らしい包みがあった。

海原光貴「ど、どうしたら……。自分は、何ということを……ッ」

 しかし、その表情には喜びが見られなかった。



 海原が持っていたのは、美琴のチョコレート。

 あの少年に渡すであろうチョコレートを、海原は無我夢中で奪い取ってしまったのだ。

海原光貴「こ、このままでは……。自分は御坂さんを悲しませることに……。いえ、そればかりか。嫌われでもしたら……ッ」

 その時、ヒラりと包みからメッセージカードが落ちた。

海原光貴「……え?」

 その表には……。



 美琴は走るのを止めていた。

 よく考えれば、走る必要も焦ることもなかった。

御坂美琴「あの性格じゃ、中身を開けずに返しに来るだろうし……。逆に中身を見たら、返される理由もなくなるか」

 美琴は踵を返すと、そのまま学生寮へと戻っていく。

御坂美琴「ハッピーバレンタイン、海原さん」



 メッセージカードの宛名書きを読んだ海原が、この上なく歓喜したのは言うまでもない。
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