とある禁書の二次創作

□マジック・バレンタイン
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 完全記憶能力を行使すれば、一つの工程を狂いなく記憶することは造作もない。

 だというのに……。

インデックス「………学園都市の霊装って、術式を組み上げるより難しいんだよ…」

 鍋の底には、ドス黒いものがバリバリにこびりつき、焦げ臭い煙が充満していた。

 同じようなものがボールの中にも付着している。

インデックス「………チョコを溶かすだけなのに、何でこんなことになっちゃうの…」

 インデックス流、チョコ溶かし法。

 その@:鍋にチョコを入れて火にかける。

 そのA:ボールにチョコを入れてレンジでチン。

 結果:どちらも黒焦げ。

インデックス「せっかく“でんしれんじ”の使い方を覚えたのに……」

 一般的な湯煎法を記憶していないインデックスは、今後もチョコを溶かし続けた。







上条当麻「ただいま〜、インデッk……うおッ!!?」

 部屋が真っ黒だった。

 正確には、真っ黒な煙で満たされていた。

上条当麻「インデックス!! 何処だ、インデックス!!」

 上条は焦っていた。

 また魔術師の襲撃かと思ったのだ。

インデックス「あ、とうま。おかえり」

上条当麻「…………えーっと……」

 台所に駆け込んだ上条が見たもの。

 純白の修道服をチョコで汚し、数多の調理器具をドス黒いもので汚し、ガスコンロや電子レンジをメチャクチャに汚し。

 その中で手の平に収まるほど、本当に小さな小さなチョコを持って微笑むインデックスの姿だった。

インデックス「グッドタイミングなんだよ、とうま!」

上条当麻「こ、これは……一体……」

 台所の惨事に倒れそうになる上条に、インデックスは小さな小さなチョコレートを差し出した。



インデックス「ハッピーバレンタイン! とうま!」



 上条は、倒れるわけにはいかない。

 インデックスの笑顔を前に、確かに、そのチョコレートを受け取った。

上条当麻「……サンキュー、インデックス」

 台所の片付けは、明日でもいいだろう。







 ちなみに味は?

上条当麻(ーーーッ!!!! 超苦ぇッ!!!!)
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