とある禁書の二次創作

□Mary 〜First date〜
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 イヴとギャリーの結婚式から数日後。

 不意に口にされたメアリーの一声。

メアリー「ねぇ、学校って楽しいところだったの?」

イヴ「え? 学校?」

 実質、イヴはギャリーと同棲している。

 そして、ギャリー宅にはメアリーが住んでおり、イヴとメアリーが家族関係になるのは当然なのだが今はどうでもいい。

 問題なのは今の現状。

 実はこの会話がなされたのは数十分前であり、今現在メアリーは……。





メアリー「………何でウォルターがここにいつのよ…」

ウォルター「いや、ここ俺の通う学校だからだよ、マヌケ」





 ウォルターの通う名門校、エースに足を運んでいたのだった。

ウォルター「そもそも、ここ一応高校だぞ? 見た目14のテメェがいることが場違いなんだよ」

メアリー「何よ、学校って種類とかあるわけ?」

ウォルター「まずそこからかよ……」

 ガックリと肩を落としたウォルターの背後から、第三者の声が掛けられる。

ネル「…あ、マギー先輩」

ウォルター「ん? おぉ」

 軽い挨拶。

 声を掛けてきたのはイヴの友達で、ウォルターの通う名門校エースに進学したネルだった。

ネル「…あ」

メアリー「……」

 自然と目が合う二人。

 数日前のイヴとの結婚式でも顔を合わせているが、この二人は一つの共通点があることに既にお互いが気付いている。

 ずばり、想う相手が同じという点だ。

ネル「………」

メアリー「……」

ウォルター(あ、重てぇ空気だ……)

ネル「マギー先輩、授業は終わりましたか…?」

ウォルター「え? あぁ、まぁな」

ネル「…なら、私t」

 ピンッ、と来た!

 その瞬間をメアリーは逃しはしない。

メアリー「う、ウォルター! 早く今度の段取り、決めちゃおうよー!」

ウォルター「あ? はぁ??」

ネル「………ッ」

メアリー「え、えー? やだな〜、忘れちゃったの〜? 今度一緒に、何処か遊びに行こうって言ってたじゃな〜い」

 思いっきり棒読みである。

 説明するまでもないが、そんな約束はしていない。

ウォルター「はぁ? ついに頭ん中の絵の具が溶けたのか、クソガキ。つーかキャラ変わってるぞ、キメェんだよ」

メアリー「ーーーなッ!? 何よそれ!! 頭ん中の絵の具とか、言っていいことと悪いことがあるでしょ!?」

ウォルター「んなもん、テメェに向ける気遣いの内に入んねぇよ。大体、テメェと一緒に出かけて何のメリットがありやがる!?」

メアリー「はぁ!? 私と一緒に出かけるのは嫌だって言うの!? イヴの結婚式で戦って疲れてるだろうし、その気持ちを考えた私の提案は無視するの?」

ウォルター「テメェと休日を過ごして疲れを癒すってか? 冗談は程々にしとけってんだよ、クソガキ。それじゃあ疲れが消し飛ぶどころか、細菌並みに繁殖するってんだよ」

 その言葉には、さすがのメアリーも頭に血が上った。

メアリー「………言ったわね…?」

ウォルター「あぁ?」

 ビシィッ! と指を突き立てるメアリー。

メアリー「なら思い知らせてやるわよ! 私との休日で、ぜぇぇったいにウォルターを楽しませてあげるんだから!! もしも退屈させたら、何でも言うこと聞いてやるわよ!!」

ウォルター「ほぉ、罰ゲーム付きか……面白い。じゃあ、もしも俺が楽しいと感じたら俺が罰ゲームでも受けてやるさ。まぁ、テメェと出掛ける以上、そんなことはありえねぇだろうけどな」

 バチバチと視線をぶつけ合い、盛大に火花を撒き散らす二人。

 そんな二人を遠巻きに、ネルは二人には聞こえない小さな声で呟いた。

ネル「………圧倒的な、疎外感」







 ところ変わって、ギャリーのアパート。

メアリー「……と、いうことがありまして」

ギャリー「学校を見に行った、って聞いてたんだけど……。どうしたらそうなっちゃうのよ……」

 大学から帰ってきたギャリーも迎え、イヴとギャリーとメアリーは三人でテーブルを囲んでいた。

イヴ「勢いで済む感じじゃない……、ていうか。よくそこまで持ち込めたね、メアリー」

メアリー「ううぅ……。なんか言い合ってる内に、どんどん話が大きくなって……」

ギャリー(膨らませたのはメアリーだ、って言うの禁句かしら?)

 メアリーが、学校を見に行ってみる、と言い出してアパートを飛び出し。

 無事に帰宅した際にはとにかく落ち着きがなく、イヴ一人の手には負えなかったためギャリーの帰宅を待った。

 そしてギャリーも帰宅し、やっと落ち着いてきていたメアリーが二人に事情を話したのだ。



 二日後の日曜日(本日、金曜日)。

 罰ゲーム付きとは言え、メアリーはウォルターとのデートを約束してしまった。

 当たり前だが、人間として異性と二人きりで休日を共に過ごすのは初めてである。
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