新説 とある学園の死闘遊戯

□第02話 他
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 今から半年以上前。

 高山と手塚は、見慣れない建物内に誘拐された。

 そこで行われたのは、十三人の殺し合い。

 無差別に選ばれた人間を三日間監禁し、三日以内に殺し合わせる。

土御門元春「それは……!」

上条当麻「俺たちが関わってきた昏倒事件と酷似してやがるな……」

手塚義光「ほぉ……。つーことは、もう木原幻生は動き始めてたってことか……」

高山浩太「いや、そもそも木原はゲームの常連だ。何年も前から準備だけは進めていたのかもな」

垣根帝督「おい、その“常連”てのはどういう意味だ?」

 その質問に、高山はあっさりと答えた。





高山浩太「俺たちが関わったゲームは、カジノで行われている賭け事の一つだ。十三人の中から勝者を予想し金を賭ける。お金持ち専門のアトラクションというわけだ」





上条当麻「なンだと!?」

 そして、先ほどの質問の答えも出てきた。

垣根帝督「そのゲームの客として参加してた常連が、木原幻生ってわけか……」

手塚義光「何年前からの常連なのかは関係ねえ。俺たちは、あのカジノに関わった客を痛めつけに旅をしてたんだ」

高山浩太「真の目的は、新たなゲーム企画者を生み出さないこと。カジノの客を調べた上で、その可能性が最も高いと判断したのが先の男だ」

土御門元春「それで学園都市に来たってわけか……」

 高山と手塚は、新たに悪夢のゲームが生み出されるのを防ぐために木原幻生を殺しに来た。

 しかし、その前に恐れていたゲームは始まってしまったというわけなのだ。

上条当麻「……あン?」

 その時、上条の右手が携帯を操作した。

 メール作成画面に文章が記されていく。

土御門元春「カミやんか?」

上条当麻「みてェだな……」

 そこには、こう書かれていた。



−−−−『思い出した! ソンシャンが子供の頃に捕まった科学者の名も“木原”って言ってた。そこで十二人の友達と殺し合いをさせられたって!』



 その文章には、誰もが驚愕した。

−−−−『彼岸の名を原子崩しから聞いた時、何か引っかかるものを感じてたんだ。多分、ソンシャンを捕まえたのも木原幻生ってヤツなんだと思う』

高山浩太「そう考えるのが妥当だろうな」

手塚義光「ったく、俺たちが事件に巻き込まれるより先に、もう木原の野郎は動いてたってのか……。嫌な予想が当たっちまったなぁ、高山の大将」

高山浩太「……そうだな」

 そこで、ふと垣根が気付いた。

垣根帝督「……お前ら二人は、そのゲームに勝ったんだろ? 結局、殺したのか?」

 高山と手塚はゲームに巻き込まれた。

 しかし、今こうして目の前にいるということは、そのゲームに生き残った勝者ということだ。

 彼らも、他の十一人の参加者を殺したのだろうか……。

手塚義光「ククク、安心しな。俺たちは自分たち以外の参加者は一人も殺してねェよ」

土御門元春「一人も、だと……?」

高山浩太「あぁ、それは本当だ。過程で襲うことはあったが、結果的に俺たちは他の参加者を一人も殺していない」

 他の“参加者”を殺していない。

 二人は、そこを強調しているようだった。

 つまりは、参加者ではない人間は殺した、と捉える事が出来るのだ。

 しかし、そこには突っ込む理由も必要もなかった。

 強制的に巻き込まれた参加者の命を、結果的に奪っていないのなら、それで良しとするしかない。

高山浩太「少々、話の軸が逸れてしまったな。筋を戻すぞ」
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