新説 とある学園の死闘遊戯

□第05話 侵
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 しばらくして、返信が届く。

上条当麻「……来やがったか」

 メールを開き、内容に目を通す。



????『名乗れない、教えない』



 簡潔だった。

垣根帝督「まあ、期待はしてなかったけどな」

手塚義光「怪しい野郎だ。なら何で、あんな写メなんざ送ってきやがったんだか……」

上条当麻「………待て。まだ続いてやがる」

 そう言った一方通行は、メール文をスクロールしていく。

 最初の簡潔な返答の下に、まだ返信文が残っていた。



????『でも、ボクは仲間。ヒント、あげる』



 更に続く。



????『窓のないビル、入口あり。木原研究所、真下』



 その場の原因が、再び驚愕した。

上条当麻「入口、だと!?」

土御門元春「研究所の真下、ってか。戻るぞ!」

 それからの行動は早かった。

 もと来た道を大きく戻り、完全に破壊した木原研究所(跡地)に戻ってきたのだ。

高山浩太「やられたな。抜け道があったなら、探してから壊すべきだった」

手塚義光「この瓦礫じゃ、探すのも面倒だしな」

 そう呟く二人に、一方通行が告げる。

上条当麻「探す必要なンざねェよ」

垣根帝督「だな。真下になるなら探す理由もねえ」

 振り返った二人の前には、学園都市の最強コンビが肩を並べている。

手塚義光「………ま、それもそうか」

高山浩太「二人とも、頼んだぞ」

 そう言って、大人しく身を引いた高山たち。

 研究所があった場所に立った一方通行たちが取った行動は実にシンプル。

 地面を、蹴るなり殴るなりして衝撃を与えるだけだ。

 ズバァァンッ!!、という轟音と共に地面が抉れ、大きく陥没させた。

 その中に、地下へと続く通路があったらしく、壁がむき出しになっていた。

土御門元春「あの通路を通っていけば、窓のないビルに入れるってわけだな」

上条当麻「そォいうことだ。クソくだらねェ仕事なンざ、さっさと終わらせてやる」

 一方通行たち五人が通路へと入ろうとした瞬間、携帯の着信音が響く。

垣根帝督「ん? 俺の携帯か」

 携帯の主は垣根だった。

 開いてみれば、相手は恋人の初春である。

垣根帝督(今の状況を考えると、いい気はしねえな。何より初春は風紀委員だ。何かあったか……)

 不審に思いながらも、着信に出る。

垣根帝督「……もしもし?」

初春飾利『…………』

垣根帝督「……? もしもし、初春?」

初春飾利『………か、垣根…さん……』

 初春の声は、ひどく弱々しかった。

垣根帝督「初春……? どうしたんだ?」

 そう尋ねた垣根に、初春は一言で答えてみせた。





初春飾利『………た、助け…て……』





 それだけで十分だった。

垣根帝督「……分かった。必ず助ける」

 きっぱりと言い返し、通話を切る。

 垣根が何かを言う前に、一方通行が先手を切った。

上条当麻「さっさと行け。こっちは任せろ」

垣根帝督「任せた」

 垣根が一言で片付けた瞬間、垣根が六枚の翼を展開させる。

 一瞬で数十メートルも飛躍すると、すぐに何処かへと飛び立っていった。

上条当麻「その変わり、そっちは任せたぜ」

 もはや聞く者はいないが、聞かせる必要もないだろう。



 一方通行(上条当麻)、土御門元春、手塚義光、高山浩太。

 彼らは、窓のないビルの内部へと乗り込んでいった。
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