新説 とある学園の死闘遊戯
□第07話 騙
2ページ/4ページ
上条当麻は驚愕していた。
目の前の現実が、信じられなかった。
自分の目の前に、よく見知った少女が倒れている。
上条当麻「イン、デックス……?」
インデックス「……と……ま」
上半身のみで、下半身がなくなってしまったインデックスが倒れているのだ。
しかし上条が驚いているのは、目の前の悪夢が原因ではない。
この場所でインデックスを見つけたのは上条であり、当然だが声をかけた。
上条に気付いたインデックスは、いつものように嬉しそうな表情で上条へと駆け寄ってきた。
ここが何処なのかも分かっていないようで、必死の質問攻めに遭う上条だが、インデックスの首に光る金属製の首輪を確認して身を凍らせた。
問題は、ここからだ。
上条当麻「インデックス! その首輪、ちょっと見せてくれないか……?」
インデックス「…? くびわ?」
言われるまま、上条に見えやすいように顎を上げて首元を見せるインデックス。
やはり同じであろう首輪(自分の首輪は見えないため)だと認識した上条は、インデックスが十三人の参加者の一人だと思った。
インデックスの腰ポケットに入れられているのが透けて見える、そのPDAも参加者の証だからだ。
上条当麻「ーッ!? インデックス、そのPDAもm」
インデックス「え…?」
“見せてくれ”と言い終える前に、上条の手がインデックスに伸びる。
PDAを手にしようと、上条の右手がインデックスの腰辺りに触れた瞬間……。
パキーンッ! と砕け散る音が響き、インデックスの胴体が真っ二つに割れたのだ。
インデックス「……え………?」
上条当麻「…………は?」
両者、呆然。
異能を打ち消す右手がインデックスの身体に反応したことも不思議だが、それよりも不可思議なことがあった。
目の前で横たわるインデックスからは、血が一滴も流れていない。
まるで、中身が空洞の人形が倒されているようにしか見えないのだ。
そうではないと認識できるのは、インデックスが微かに口を開いて言葉を吐いているからである。
上条当麻(こいつは、インデックスじゃない……。でも、さっきまでのコレは、間違いなく“インデックス”そのものだった……)
反応も、声も、仕草も、当たり前だが見た目も。
その全てが完全に、インデックス本人だった。
しかし、幻想殺しが働いて正体をさらけ出してしまった目の前のものは、明らかにインデックスではなかった。
この答えが意味することは、一つしか思い当たらない。
上条当麻「……まさか……!! 他にも“こんなの”が入り込んでるって言うのか!? 俺は幻想殺しがあったからいいものの、他の皆は騙されちまうこともあるんじゃ……!?」
今回の上条の推察は間違いではない。
この“窓のないビル”の中には、建物自体が用意した“偽者魔術(トリックダミー)”という異能が働いているのだ。
十三人の頭数を揃えるためだけに作られた、中身の存在しないエキストラゲスト。
モデルをそっくりにコピーした暗殺者は、インデックスの他にも存在しているだろう。
そう……、今でも身近にいるのかもしれない……。
土御門は舞夏と行動を共にしていこうとした。
しかし、それが叶うことはなかった。
土御門元春「ま……、舞…夏……?」
土御門舞夏「…………」
身近に、いるのかもしれないのだ……。
土御門舞夏「兄貴、ごめんなー」