我ら、篠原家!
□プロローグU 「料理人」
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この世界では、稀に“能力者(マスター)”が生まれてくることがある。
“マスター”とは“普通の人間には具わることのない能力”を持ってして生まれた人間を指す。
洋平も、その一人だった。
“自分だけの正義感(オンリー・ラース)”と呼ばれる能力を持って生まれた彼は、幼い頃からヒーローに憧れていた。
理由などない。
ただ、そういう正義感が強かっただけだ。
誰かを助け、手を差し伸べ、多少は不器用でも挫けなければ乗り越えられた。
そして、些細な事が切欠で、彼のヒーロー人生は幕を閉じた。
“マスターヨーズ”。
彼のヒーローの名称だった。
この名を一度、バカにした者がいた。
彼は、一瞬だけ意識を手放し、次に気が付いたとき……
目の前には、焼き加減抜群な肉塊が転がっていた。
それが何の肉なのか、問うまでもないだろう……。