とある学園の死闘遊戯 罪

□第01話 帰還
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 リフレクトパークに入り、食事処=新入生=へと向かう。

 噴水の近くでは散歩中の大学生や子供たちが無邪気に遊んでいた。

 それを見ていた一方通行は、静かに呟いた。

一方通行「見てる分には、平和ってモンなンだろォけどなァ……」

上条当麻「…………」

 その呟きを聞き取った上条は、何も言えなかった。

 上条は、今現在の学園都市を一方通行より理解している。

 そして一方通行も、今現在の学園都市が“どんな状況”なのかを人伝に聞いた。

 その話も含めて、これから話し合わなければならない。

 考えている間に、二人は目的のレストランに到着した。







 入店すると、目の前には会計用のカウンターがあり、その両脇に一枚ずつ入り口のドアが設けられていた。

 実は、一般客用と元・暗部客用に分けられており、少しずつお互いに馴染んでいこうという試みらしい。

黒夜海鳥「いらっしゃーせー」

一方通行「オイ、このレジ係のガキはやる気あンのか?」

上条当麻「えーっと……、まぁいつもそんな感じだ」

 上条が案内したのは、元・暗部客用のコーナーだった。

 これから話す内容を考えたら、一般客用のコーナーで話すのは気が引けた。

 入店してきた一方通行たちを確認した男が、手を振って場所を示す。

土御門元春「一方通行、カミやん。こっちだぜい」

上条当麻「おぉ、いたいた」

 席を見ると、そこには新生グループが集結していた。

 土御門元春、垣根帝督、海原光貴、白井黒子。

 そして、一方通行と上条当麻が加わり、この場に六人が出揃った。







 一方通行は、外の世界で見てきたことを再び語りだす。

 この場は、その状況をまとめるために集まったのだ。

上条当麻「浜面たちには会えたし、連れ帰ることにも一応は成功した。だけど、まだ魂だけの死者だから、俺たちには見えないし触れることも出来ない、か……」

白井黒子「それでは、ここにいないのと大差がありませんわ」

土御門元春「いや、例え俺たちには分からなくとも、この学園都市に戻ってきたってのは大きいはずだ」

 浜面仕上、滝壺理后、絹旗最愛、結標淡希。

 浜面たちは学園都市に戻ってくることが出来たが、コンタクトが取れない以上は進展が望めない。

垣根帝督「しかし、元・第四位はどうしたんだ? 連れ帰ったんじゃねえのかよ」

一方通行「忘れてたわけじゃねェよ。だが、連れ帰る連中に混じってねェことを不思議に思えなかった……」

海原光貴「……それが“スヴィル”という方の力なのですね……」

 “スヴィル”。

 一方通行たちの新たな敵であり、皮肉にも浜面たちを取り戻すきっかけになった存在。

 そして、一方通行に手も足も出させなかった正体不明の存在。

上条当麻「そいつは、魔術師なのか……?」

一方通行「さァな。だが、魔術サイドには属さねェらしいぜ」

垣根帝督「だからって、科学側の人間でもねえんだろ?」

 スヴィルが明かした、自分の所属。

 科学サイドの能力者にも、魔術サイドの魔術師にも属さない。

 全く新しい法則の世界。



一方通行「“魔学サイド”。この意味が分かるか?」



 その問いに、返答できる者はいなかった。
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