とある学園の死闘遊戯 罪

□第02話 病院
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 海原は、何枚かの映像コピー紙を取り出す。

 一時停止した映像を、写真として印刷したものだ。

海原光貴「見逃してくださいね、風紀委員さん」

白井黒子「はぁ……、今回だけですわよ?」

 絶対に今回だけじゃ終わらないな。

 少なくとも、この場の男性陣は直感した。

海原光貴「花一さんが病室を離れた際、その数秒後に御坂さんが退室しています」

土御門元春「様子は?」

海原光貴「フラフラと、あまり良い様子は見られませんでしたね」

一方通行「入院してンだろ? なら普通なンじゃねェのか?」

上条当麻「さっきも言ったが、もう退院できるくらい回復してるんだ。今になって、その歩き方は不自然だろ」

 普通の生活が出来るくらい回復した体。

 しかし、この日の美琴は様子がおかしく、足取りもフラフラだったらしい。

海原光貴「そこで、少々前の映像記録も拝見させていただきましたが、二日前の記録では元気な様子が確認できました」

一方通行「それが確認できたのは、何時頃の映像だ?」

海原光貴「自分が確認できたのは、夕方の五時頃ですね。それ以降を観ている時間は残されていませんでした」

 正体不明の監視官が、今日ではない映像記録をじっと見ているのは怪しまれる。

 海原に与えられていた時間内では、ここまでの情報が精一杯だったのだろう。

垣根帝督「つまり、二日前の午後五時から昨日の夕方頃。第二位が姿を消すまでに何があったかを調べりゃいいんだな?(※一方通行が統括理事長に昇格したため、彼は超能力者の序列から除外されている。現在は、第一位が垣根帝督・第二位が御坂美琴である)」

 垣根の見解を、上条が訂正した。

上条当麻「いや、御坂の様子がおかしくなってたのはもっと前だ。正確には、昨日の夕方より更に逆上るぜ」

土御門元春「だが、時間が限定されている以上、動きやすいことに変わりはない」

白井黒子「そうですわね。何としても、お姉様を捜し出さなくては……」

一方通行「…………」

上条当麻「…………」

 それぞれで情報収集に向かおうとしている中、一方通行と上条は同じことを考えていた。

 白井のことである。

一方通行(超電磁砲が行方不明だってのに、随分と落ち着いてやがるな……)

上条当麻(“昏睡事件”の時は、御坂が眠っちまっただけで大泣きしてたのに……)

 二人の視線と思考に気付いた白井は、二人にそっと耳打ちした。

白井黒子「わたくしはいつもの白井黒子ですの。ですが、この場では素直に悲しむことが出来ませんの」

上条当麻「ん? どういうことだ?」

 白井は、ちらりと後方に視線を送る。

 俯いた様子の花一が悲しげな目をしていた。

白井黒子「花一さんの親友も、どうやら行方不明だそうですの。今ここでわたくしが素直に泣き崩れでもしたら、きっと彼女も……」

一方通行「なるほどな……。どォりで声を押し殺して話すと思ったら、泣くのを我慢してやがったのか」

上条当麻「分かった。なら花一の友達を助ける意味でも、さっさと事件解決を急ごうぜ」

一方通行「当たり前ェだ」

白井黒子「わたくしも協力いたしますわ」







 病棟裏。

 一人になった白井黒子は……。

白井黒子「おッ姉ぇぇぇぇぇぇ様ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああッ!!!! どこに、どこに行ってしまわれたんですのぉぉぉおおおおお!!!! 黒子は! 黒子は!! 黒子はッ!!! 黒子はぁぁぁぁあああああああああああああ!!!! おぉぉねぇぇぇええぇぇぇぇさぁまぁぁぁぁぁぁああああああああああッ!!!!」

 自分の気持ちに素直になっていた。

一方通行(あれ、眼前で聞いたらトラウマだろ……)

上条当麻(御坂も苦労してんだろうなぁ……)
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