とある学園の死闘遊戯 罪
□第03話 香水
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一方通行は、その小瓶を手に取ると中を確かめた。
一方通行「……こりゃ、香水か?」
垣根帝督「…香水ッ?」
もう一本は垣根が手に取り、一方通行は上条へと回した。
上条当麻「あ〜、そうみたいだな。よく分かんねぇけど、いい匂いだ」
海原光貴「女の子でしたら、そういうものを持っていても不思議ではないのでは?」
白井黒子「確かに、お姉様は香水を持っていらっしゃいましたわ。まぁ、対して使ってはいなかったようですけど」
クルクルと手渡される香水だが、何故か垣根だけはジッと眺めていた。
一方通行は、その様子に気付いた。
一方通行「どォした? 何か分かったのか?」
垣根帝督「………おいチビスケ」
花一籠目「ち、ちびッ!?」
垣根帝督「お前は、これが香水だって知ってたのか?」
垣根の質問に、花一は首を振った。
突然に話を振られたのが怖かったのか、その手は一方通行の服の裾を掴んでいる。
一方通行「…………」
垣根帝督「なら、お前はこの匂いを嗅いでねえんだな?」
花一籠目「ぅえぇ……。あ、はぃ……」
質問の意味が分からないものの、花一は正直に答えていた。
だが、質問の意味が分かっていないのはこの場の全員にも当てはまる。
土御門元春「どういう意味だ?」
垣根帝督「おい、ツインテール。お前もこれは嗅ぐんじゃねえぞ」
白井黒子「はい?」
垣根は、小瓶を一方通行へと返して話し始める。
垣根帝督「俺は初春から、この事件が発生している度に、その事件が発生する前日の事件を調べてもらった。どれもこれも小さいもんばっかで、対して役に立ちそうなもんはなかった」
上条当麻「……それで?」
垣根帝督「だけど、事件にすらなってねえことだが、気になることが一件見つかった」
垣根は、パソコンから印刷したらしいカラー資料を取り出す。
それは、とある商品の売り上げを表したものだった。
垣根帝督「失踪事件が起きる前の日は、必ず香水の総合売上が上がってんだ。つまり、香水の売り上げがいい日の翌日、学園都市の女性が疾走している」
全員、沈黙。
海原光貴「………偶然なのでは?」
土御門元春「だにゃー」
上条当麻「そうだな」
白井黒子「ですわね」
花一籠目「…………」
垣根帝督「……やっぱりか?」
資料を片付けて、くしゃくしゃと頭を掻く。
垣根帝督「俺もこの場面で香水が出て来なけりゃ、こんなもん公開する気なんざなかったってーの……」
上条当麻「ま、まぁ……そんな時もありますって」
少し項垂れる垣根を慰めようとする上条だったが、ここで一方通行がまだ香水を眺めていることに気が付いた。
上条当麻「一方通行……?」
一方通行「…………」
上条当麻「………もしかして…」
上条当麻「それ、気に入ったのか?」
一方通行「殺すぞ」
どうやら、使ってみたいと思っていたわけではないらしい。
垣根帝督「もういいっつーの、一方通行。香水ネタから離れてくれ」
一方通行「……土御門、新生グループにも下部組織がいるンだよなァ?」
土御門元春「ん? まぁ確かにいるが、それがどうした?」