とある学園の死闘遊戯 罪

□第05話 誘惑
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 インデックスは少し落ち着いた口調で話し始めた。

インデックス『さっき、イギリスのそんしゃんから電話が鳴ったんだよ。そんしゃんは、今はイギリスの必要悪の教会が所属だから、私にも立場は分かるんだよ』

上条当麻(そういえば、正式に所属が決定したんだったな……。もしかして、家に掛ける前に俺んとこにも連絡してたんじゃ!?)

 眼前の騒ぎに集中していて気付かなかったのかもしれない。

 インデックスは電話に出ることは出来ても、掛けることまでは出来なかったのだろう。

 だから、ソンシャンからの連絡を受けて上条に伝えることが出来なかった。

 そこで舞夏を頼ったのだろう。

インデックス『そんしゃんは、全国の指名手配犯を追ってるの。その中に、今の学園都市で起きている事件と類似の事件を起こしてる悪者がいるらしいんだよ』

上条当麻「なんだってッ!?」

 もしも、その人間が今回の事件の犯人ならば。

 上条たちは、全国に手配されている凶悪犯と戦っていることになるのだ。

上条当麻「……インデックス、教えてくれ。そいつは、誰なんだ?」







 木の葉通りの一時的な封鎖が完了し、白井と花一が一方通行たちを探そうとした時。

 真っ白い翼を生やした垣根が、初春を抱えて降り立った。

花一籠目「うわぁあ……」

白井黒子「随分と、華麗な登場ですわね」

垣根帝督「一応自覚してる」

 四人が集まり、木の葉通りを歩き始める。

 一時的な封鎖とはいえ、もうすぐ警備員も到着するだろう。

白井黒子「そちらに進展は?」

垣根帝督「まぁ、あるにはあるって感じだな」

白井黒子「………良い情報とは、言えないようですわね」

 白井たちが路地裏に入ろうとした時、土御門が姿を現した。

土御門元春「悪いが、こっちもいい情報は入手できなかったぜい」

白井黒子「……と言いますと?」

 土御門は、垣根へと視線を移す。

土御門元春「こっから先は女子厳禁だ。垣根以外は、ここで待っててくれ」

初春飾利「そ、そんな! 私たちだってジャッジm」

 初春の言葉を、白井が手で制止した。

白井黒子「……お願いしますの」

垣根帝督「了〜解。初春を頼むぜ?」

 路地裏へと姿を消していく二人の背中を見送りつつ、初春は白井に尋ねた。

初春飾利「いいんですか? 私たちだけ現場に加わらなくて」

白井黒子「風紀委員と言えども、加入するべき事態とそれ以外を分けるべきですわ。それに……」

 先ほどの土御門を思い出し、白井は眉を寄せた。

白井黒子「この先には、わたくしたちが見るべきではないものがある。土御門さんは、目で訴えているようでしたわ……」







 AIM拡散力場の第七学区。

 木の葉通りの路地裏。

 女性失踪事件を知った浜面たちは、原子崩しを含んで四人で行動していた。



 そして、見てしまった。



 木の葉通りの路地裏で起きた出来事の、一部始終を。







 土御門の後ろから、垣根が現場へと顔を出す。

 海原光貴が見張り、一方通行が調べていた現場は、辺りに嫌な臭いを充満させていた。

垣根帝督「……懐かしい臭いだ」

一方通行「さすがだな。俺と同じセリフを吐くとは」

 一方通行の前には、真新しい男性の遺体が横たわっていた。

 明らかに失血死が死因と思われる大量の血液。

 壁一面から、地面には血溜まりが出来ているほどだった。

海原光貴「まるで、全身の血管が破裂したようです。身体中の皮膚が裂け、あちこちから噴水のように」

 海原は、とある身分証明書を差し出した。

海原光貴「遺体の顔は、もはや何方か分かりませんが、彼の持ち物です。おそらくは本人でしょう」

垣根帝督「やれやれ……。これは進展か、あるいは行き詰まりか……」

 身分証の名は“吉良煌利”。

 一方通行たちが追っていた、香水店“キラー”の店長であり、この事件の重要参考人だった男だ。
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