とある学園の死闘遊戯 罪

□第06話 場所
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 風紀委員、第一七七支部。

 海原の撮影データから、現場に残されていた足跡の靴を検索。

 靴の購入者や所有者の名簿を調べれば、すぐに名前も判明する。

 それが本当に、全国指名手配犯の犯行ならば。

土御門元春「“セリーア=シルッキー”か……。確か、最初の事件は生まれ故郷のブラジル、バイーア州で近所の女性を誘拐し監禁した事件だ」

海原光貴「彼の手口は、麻薬を用いて被害者を自分に依存させること。故に、被害者の多くは、彼の犯行に遭っても助けを求めるケースが少ない」

白井黒子「セリーアが捕まってしまえば、麻薬の影響から禁断症状を起こしてしまう。被害者にとっては、まさに生き地獄ですわね」

垣根帝督「世界中の女性は自分の物、ってか。ムカつく野郎だ」

 新生グループの面子が、セリーアについての情報をまとめる。

 まとまり次第、一方通行と上条に分かりやすく説明するのだが。

 逆に言えば、それまでの間は二人が暇なのである。







 上条は、ソンシャンに頼んでセリーアの手配写真を写メで送ってもらっていた。

 ブラジル人だが日系のようで、肌に黒さはない。

 藍色に染めた、長くて綺麗な髪を一つに結んでおり、芸能人を名乗っても疑えないほど美形だった。

上条当麻「……こんな人でも、凶悪な指名手配犯なんだよな……」

 上条は、麻薬入りの香水を手に取って眺めてみる。

 見た目は、ごく普通の何処にでも売っている香水だが、これがセリーアの武器となっている。

上条当麻「………なぁ、土御門…」

土御門元春「ん? 呼んだか、カミやん」

上条当麻「これってさ、どうやって犯行に使うんだろうな。麻薬入りの香水を使ったからって、失踪するってことには結びつかないんじゃないのか?」

垣根帝督「その謎なら、俺が解いておいた」

 垣根が上条の前にピンセットを差し出す。

 垣根は簡単にピンセットの仕組みを解説すると、検出した物質を画面に表示させる。

垣根帝督「香水に含まれてる麻薬は、異常なほど精密なバランスで配合されてる。その結果、こいつを一度でも使っちまえば何倍にも依存性を高められた麻薬を摂取することになるらしい」

上条当麻「ん? 仮にそうだとして、どうして失踪に繋がるんだ? 新しい香水を求めて徘徊でも始めるってのか?」

垣根帝督「80点、惜しいな。新しい香水かは分からねえが、被害者は必ず麻薬を求めちまう。そして、そいつを求めて徘徊するのではなく、それがある場所まで自然に歩いていっちまうのさ」

 上条には理解不能だった。

 被害者は誘拐でも拉致されたわけでもなく、本当に自分の意思で失踪しているというのだろうか。

上条当麻「それじゃあ、被害者はセリーアの所まで自分から向かっちまってるのか?」

垣根帝督「上条、電車ってのは何で同じ道を狂いなく走れると思う? 電気や運転手がいるってのは当たり前として、走るには他に何が必要だ?」

 突然の質問だったが、内容は簡単だった。

上条当麻「線路、だろ? それがなけりゃ、他の何があっても狂いなく走るのは不可能だ」

垣根帝督「正解、なら話は簡単だ。被害者を電車に、セリーアの野郎を終着駅としたら、どう考えられる?」

 被害者がセリーアの所へ向かうには。

 電車が終着駅へと向かうには。

上条当麻「ーーーッ。まさか、被害者がセリーアの所まで歩いていっちまう線路があるっていうのか!?」

 垣根はピンセットを指差して解説を続けた。

垣根帝督「香水店“キラー”の周りを調べてみた。買ったばかりの物を試したヤツらが何人もいたみたいだが、大気中に麻薬が充満した様子はなかった。おそらく、香水の主成分と比べたらホントに微量だったんだろ」

 ピンセットを片付けつつ、尚も垣根は語り続ける。

垣根帝督「だが、どういうわけか“麻薬の吹き溜まり”みてえな場所が近場から何カ所も検出された。おそらく、被害者はA地点からB地点、B地点からC地点、C地点からD地点へと麻薬の臭いに足を進め、終着駅まで到着しましたってわけだ」

土御門元春「まだ謎がある。この麻薬が、女性にしか依存しないことだ。確実に人工的に作られた麻薬の吹き溜まりを通っちまった女性は、身体の火照りや熱さを訴えたと思うぜい」

 土御門たちは知る由もないが、浜面と行動していた絹旗と滝壺が訴えていたことはこれに当たる。

 おそらく、何処かの吹き溜まりを通過してしまったのだろう。

垣根帝督「とにかく、吹き溜まりのある場所も把握できた。犯人の目星も付いた。あとは靴の持ち主がセリーアと出れば、吹き溜まりを辿ってラストステージに突入だ」
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