とある学園の死闘遊戯 罪

□第07話 用途
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 倉庫内を走り始める複数の影。

 ジャングルジムのような足場を渡り、セリーアの姿を捜していく。

 一方通行、土御門元春、垣根帝督、海原光貴。

 走る道が何処に繋がっているのか、セリーアは何処を走っているのか。

 終わりの見えない鬼ごっこが始まっていた。







 上条当麻、白井黒子、花一籠目。

 三人は壁際の牢屋を全て周るため、全ての足場を壁側に向かって走っていた。

 空間移動を使わないのは、それだけ足場の数が複雑であり、思うように座標を計算できないからである。

 更に、上条の移動手段は車椅子だ。

 それほど速く動けるわけでもないため、どうしても時間が掛かってしまう。

上条当麻「ちっくしょう! 脚の骨が軋まなければ、こんな足場なんて楽勝だってのに!」

白井黒子『喋る余裕があるのでしたら移動力を上げてくださいなー!』

 何処からか白井の声が反響して聞こえた。

 倉庫内では近くにいなくとも、声が反響して響いているらしく誰かにも聞こえているようだ。

上条当麻「くぅッ! せめて、どの道が何処に繋がってるのかが分かれば……ッ」

 そう思った矢先、上条の前方に何かが飛来した。

 鋭い斬撃のようなものがビュンッと通り過ぎ、上条の行く先の足場を切断してしまった。

上条当麻「ーーーなッ!?」

 足場が無くなり、別の分かれ道を進むしかなくなる。

上条当麻「ちっくしょう!! セリーアが遠距離から邪魔してんのか!?」

 飛び道具も持たない上条に反撃の手段はない。

 大人しく別のルートを進んで行くしかないのだった。







 別のルートでは、花一も上条と同じ目に遭っていた。

 ビュンッと飛んでくる斬撃のようなものが、花一の進む先の足場を壊していく。

花一籠目「わわッ!! ま、また……ッ」

白井黒子『花一さん!! 大丈夫で…きゃッ!?』

 白井の声が聞こえた途端、同じ方向からビュンッという音が聞こえる。

 白井も同じ目に遭っているのだろう。

花一籠目(向こうからは、私たちの動きが分かってるんだ。どんどん行く先が限定されてる……)

 しかし、ここで思わぬ展開になる。

花一籠目「……あ、あれ?」

 花一の目の前に広がるのは、牢屋の前を移動するための大きな廊下。

 つまり、牢屋が並んでいる場所の真正面である。

白井黒子『おや? ここは……』

上条当麻『よしっ、何とか辿り着いたぜ!』

 反響した声を聞く限り、上条と白井も同じように行き着いたらしい。

花一籠目(誘導ミス……? それとも、最初から最短ルートを渡らせてた……?)

 それからというもの、限定されていくルートを進めば進むほど、都合よく牢屋の前に出ることが出来たのだとか。







 巨大貸倉庫天井付近。

 携帯電話を顔と肩に挟んで、誰かと通話している少女がいた。

 右手には双眼鏡を持ち、倉庫内を走り回る上条たちを観察している。

青髪ピアス『初陣、頑張っとるん? ご苦労さんやなぁ』

????「話してる余裕はありません。切っても構わなくて?」

 少女が立つ足場は、真っ黒な液体を固めた物だった。

 その液体が入ったドラム缶が少女の背後に用意されており、少女は液体をフワフワと浮かばせて操っている。

????「………そっちはダメ…」

 双眼鏡で確認すると、上条が牢屋へのルートから遠ざかろうとする。

 すぐさま液体を鋭利な刃物の形に変え、行く先の足場を切断した。

 行き先を失った上条は、仕方なく別ルートを回り始める。

 おそらく、その先が牢屋の正面になるだろう。

青髪ピアス『そんじゃ、邪魔にならへんように失礼するで? お帰り待っとるよ』

 少女の通話が終わり、目の前の任務に集中する。

 黒い液体……油性オイルを操る、長点上機学園の制服を着た少女。

 非公認組織バブルの新メンバーとして、全力で上条たちをサポートする。
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