とある学園の死闘遊戯 罪
□第07話 用途
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セリーアの両膝を、土御門が一瞬で撃ち砕いた。
セリーア「あぁッ!! ぐ、がぁぁぁああああああああああッ!!」
土御門元春「悪いな。抵抗するとかしないとかは関係ないんだぜい。殺さないことが条件だが、それ以外は何でも有りってな」
両膝を潰され、もはや歩くことも立つことも出来なくなったセリーアは、力なく俯くしかなかった。
はずだった……。
セリーア「………ふふ…」
土御門元春「ん? 何を笑っt」
土御門が尋ね終える前に、それは始まった。
セリーアが倒れていた足場がバラバラと形を変えていく。
土御門元春「ーーーなッ!?」
セリーア「そうですか……。殺すつもりはないんですね……。ならば、まだ僕は逃げられますッ!!」
もともと脱出用に細工していたのだろう。
形を細かく変えていった足場は、斜めに傾くとセリーアの体を滑り下ろしていく。
まるで、巨大な滑り台だった。
土御門元春「ま、待てッ!!」
すぐさま狙いを定めようとするが、どんどん加速して滑り降りていくセリーアを追うことが出来ない。
下手に撃って足場に当たれば、跳ね返った流れ弾が誰かに当たる可能性もある。
土御門元春「……くそッ!!」
ここまで来て、セリーアを完全に見失ってしまった。
どんどん加速して滑り降りていくセリーアは、一時的な脱走に満足していた。
この滑り台は、あらかじめ用意していた壁の脱出口に続いており、入り込めば自動的に別の学区まで運送されるようになっている。
セリーア(何とか、この場からは逃げられそうですね……。痛ッ!!)
セリーアの体はボロボロだ。
顎や口は裂けて血塗れ、左手と左腕も撃ち抜かれ、両膝は完全に砕かれている。
セリーア(ですが、この場を離れられれば問題はない。また体勢を立て直して、僕は再び……ッ!!)
脱出口が見えてきた。
しかし、何故か外から漏れる光が弱い。
セリーア(……?)
まるで、脱出口の前を“何か”が塞いでいるようだった。
セリーア(ーーーッ!!?)
脱出口を塞いでいたものは、白く白く白かった。
電極のスイッチを入れ、能力をフルに発動している学園都市統括理事長が、脱出口の前で両腕を広げていた。
セリーア「ぁ……あぁ……ッ!!」
一方通行「ラジオ体操、第一ィ♪ 両腕を大きく広げてェ♪」
爪が剥がれるのも構わずに、セリーアは残された右手でブレーキを掛けようと足場に爪を立てる。
しかし、ここまで加速したスピードの中、自分の体を腕一本で止めることは出来なかった。
自分の行き先は、脱出口という名の光ではなく、一方通行の能力という名の闇でしかなかた。
セリーア「うわああああああああああッ!!」
一方通行「クソッタレで哀れな害虫をォ!! その両腕で打ち払ってあげましょォォおおッ!!」
一方通行の胸に全力で飛び込んでしまったセリーアは、両脚の骨をグシャグシャに骨折して跳ね返された。
反射の餌食になったセリーアの体は、貸倉庫の地面へと落ちていった。
とある牢屋の檻を開けた上条は、中にいた被害者に声を掛ける。
上条当麻「聞こえたか? 今の悲鳴」
車椅子を動かして、被害者へと近付く。
上条当麻「一方通行の声も聞こえた。多分、アイツがトドメを刺したんだろうな」
ぐったりとした被害者の手錠と足枷を外す。
上条当麻「多分、これでこの事件は解決だぜ。だから……」
首輪はノコギリでは危険なため、鎖だけを切断する。
上条当麻「だから、一緒に帰ろうぜ。御坂」
御坂美琴「『…………ぅん……』」
全身がボロボロになって発見された美琴は、か細かったものの確かにそう返答した。