とある学園の死闘遊戯 罪

□第08話 色欲
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 美琴を含めた、被害者全員が赤く染まる。

 香水店の店長のように、全身の血管が破裂して出血を起こしているのだ。

上条当麻「み、美琴ッ!!」

 思わず車椅子から立ち上がって駆け寄る上条。

 メキメキと脚の骨が軋むのを感じるが、痛みに構っている余裕はない。

 ドサリと倒れ込んだ御坂を抱き起こして必死に声を掛ける。

上条当麻「美琴ッ。おい、美琴! 返事しろ、美琴ッ!」

御坂美琴「…………」

 目は開いており、意識もあるようだ。

 しかし出血量が酷いため話すことが出来ないらしい。

 少しずつ目の色が薄らいでいき、身体も冷たくなっていく。

海原光貴「そ、そんな……」

白井黒子「…お、姉様………」

一方通行「ーーーッ。テンメェェェ!!!!」

 セリーアが右手に握るPDAを、右腕ごと刎ね飛ばしてやった。

 切断された右腕の傷口から噴水のように血液が溢れ出すが、もはやセリーアの笑みは絶えない。

セリーア「後悔するなら、ご自分たちでご勝手に! 僕を殺さず、右腕まで残してしまった敗因を一生悔やむのですね! ふ、ふふふふふふふッ!!」

一方通行「ーーーッ。クソッタレがァ!!」

 一方通行が駆け付けて、血流操作を行えば助かるだろう。

 しかし被害者の人数が多すぎるため、助けられるのは一人か二人だ。

 この状況下で、救出した被害者たち全員を救う手段は。

 もう残されていなかった。



垣根帝督「絶望するには、まだ早えだろうがッ!!!!」



 垣根の背中から、六枚の真っ白な翼が大きく広げられた。

 勢いよく羽ばたいた翼から羽根が巻き上がり、倒れゆく被害者たちを包み込む。

 羽根が触れた被害者たちの出血が、少しずつ治まっていた。

セリーア「ーーーなッ!?」

垣根帝督「俺の未元物質に、普通の止血法が通用すると思ってんじゃねえぞ!」

 だが不完全だ。

 さすがの未元物質でも、結局は垣根の演算式から成り立っている。

 被害者の人数が多いため完全に止血させることが出来ず、ただ死期を伸ばしただけに過ぎない。

垣根帝督「ーーーッ。くそッ」

土御門元春「だが時間は稼げてる! この間に何とかするぞ!」

白井黒子「もうすぐ警備員と風紀委員が到着するはずですが、応急程度の設備しかありませんの!」

海原光貴「救急隊を今要請したところで、到着する頃には……」

 根本的な解決が出来ない以上、被害者たちが動かなくなるのを眺めているしかない。

一方通行「ーーーッ。ちっくしょォォォおおおおッ!!!!」





鈴科百合子「おおっとォ!! 救世主様のご到着だぜェ!!」

方向転換「くだらねェことォほざいてる暇があンなら、さっさと能力を発動しろってンだよ、バカがッ!!」





 不意に響き渡る二つの声。

 駆けつけた警備員と風紀委員の集団に続いて、百合子と方向転換が現れた。

一方通行「テ、テメェらッ!?」

 一方通行たちの反応も待たず、方向転換は地面へと手を付いた。

方向転換「そこのメルヘン野郎! その能力、発動したままでいろォ!!」

垣根帝督「ああん!?」

 方向転換を中心に、ブワァッと何かが広がっていく。

 不可思議なサークルに入った被害者たちは、身体中の傷が次々と止血されていく。

 それどころか、流れていた血液が体内へと戻されていく。

一方通行「血流操作だとッ!?」

土御門元春「カミやん、超電磁砲をサークル内に入れて離れろ! 幻想殺しが触れたらマズい!」

上条当麻「お、おぅ!」

 美琴から離れ、同じように出血が治まっていく。

 そして同じように、美琴の血液が体内へと戻されていく。

一方通行「方向転換に血流操作が出来るはずがねェ。仮に出来たとしても、対象に触れもせずに大人数を一度に操作するなンざ不可能だ。一体、何が……」
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