とある学園の死闘遊戯 罪
□第01話 共通
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風紀委員第177支部。
駆け込んできた花一が真っ先に抗議した相手は、新生グループの構成員兼風紀委員の少女。
花一と同じ常盤台中学に通っている先輩、白井黒子だった。
花一籠目「ヒドいじゃないですか、白井さん! ここに集まる予定だったなら教えてくださいよぉ!」
白井黒子「いえ、花一さんが来るものとは知りませんでしたので……。というより、本当に捜査に協力していくおつもりですの?」
まずはそこからだったようだ。
白井以外の新生グループも集まっているようで、土御門元春、垣根帝督、海原光貴の姿もあった。
この支部に所属している初春や固法先輩が見当たらないが、おそらく風紀委員の別仕事に駆り出されているのだろう。
花一籠目「んもぅ……って、あれ……?」
しかし、この場にいるはずの人間が二人ほど足りない。
互いをヒーローだと呼び合うような少年たちの姿が、この場に存在していなかった。
花一籠目「あ、あのぉ……。一方通行さんたちは……」
土御門元春「一方通行たちなら、まだですたい」
花一籠目「え?」
ペラペラと(勝手に)被害届を読んでいた土御門が、花一に顔を向けて答えた。
土御門元春「お客さんを迎えに、第二十三学区に出向いてるぜよ」
第二十三学区の国際空港。
一方通行は上条を連れて、今現在着陸した飛行機の中から降りてきた人混みの前に立つ。
その中から、こちらへと歩み寄ってきたのは赤い髪をした神父服の少年。
その横を、同じ神父服を着た緑の髪の少年が立ち並ぶ。
イギリスの魔術師、ステイルとソンシャンだ。
上条当麻「久しぶり」
ステイル「気持ちの悪い挨拶は止めてくれ。僕としては慣れ合うつもりはないんだよ」
一方通行「テメェがソンシャンか……」
ソンシャン「はじめまして、一方通行さん。例の事件、本当に申し訳ありませんでした」
謝罪はしたものの、許してもらう気はないのだろう。
ソンシャンは余計な発言を控える気なのか、そこで口をつぐんだ。
上条当麻「でも、何でステイルまで学園都市に? ソンシャンは、まぁ分かるんだけど」
全国規模の指名手配犯を追っているソンシャンが、学園都市で事件を起こしたセリーアの件で足を踏み入れるのは分かった。
しかし、そこにステイルが同行する理由が生まれないのだ。
ステイル「僕は別件さ。世界各地で広がっている不審事件の偵察、と言ったところかな」
一方通行「不審事件だァ? まァた学園都市でクソくだらねェことをやらかす馬鹿がいるってのか」
ステイル「君が二代目の統括理事長だね? まだ憶測の域を出ない事柄だ。そっちの事件に集中してくれて構わないよ」
そうは言うものの、聞いてしまったからには気になってしまうものだ。
上条当麻「どんなことが起きてるっていうんだ? 学園都市が関わるなら、憶測だろうと話してくれてもいいんじゃないか?」
ステイルは、やれやれと言った表情と仕草で話し始める。
ステイル「世界各地で、魔術的記号を意味する核霊装が感知されている。正確な在処は掴めていないが、奇妙なことに陣を形成する形で組まれている様なんだ」
上条当麻「……? えぇ〜っと……」
ステイル「………低脳な君には難題だったかな」
上条が疑問符をいくつも浮かべている中、一方通行はステイルに問いかけた。
一方通行「ここが“中心”だってのか?」
その問いに、ステイルは驚愕と感心。
そして少しだけの倦怠感を混じらせて返答する。
ステイル「さすがは学園都市最高の頭脳というわけか……。その返答には答えられないよ。先にも言ったが、あくまで憶測の域を出ないんだ」
一方通行「あァそォかい」
理解できていない上条の前で話が終わり、上条を置いてステイルは歩き去った。
ソンシャンも、セリーアを捕えている場所へと面会に向かった。
上条当麻「なぁ、さっきの話。一方通行は理解できたのか?」
一方通行「大まかには、な。さっさと戻るぞ。事件解決後に、また一難あってもらっちゃ敵わねェからなァ」