とある学園の死闘遊戯 罪

□第02話 過去
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 カエル顔の医者の病院。

 美琴の病室にて、佐天がお見舞いに訪れていた。

御坂美琴「『……そっか。初春さんが行方不明、か……』」

佐天涙子「……はい。何で、よりにもよって初春、なんでしょうね……」

 落ち込んだ様子の佐天とは違い、美琴は落ち着いていた。

 先に白井から教えられていたのだ。

御坂美琴「『佐天さんは、どう思う? 初春さん、このまま帰って来ないかも、とか考えてるの?』」

佐天涙子「ま、まさかッ。御坂さん、冗談ですよねッ!?」

御坂美琴「『……うん、ごめん。冗談にしては、どうかしてた。でも良かった』」

佐天涙子「……え?」

 呆然とする佐天に、美琴はニカッと笑いかける。

御坂美琴「『佐天さんが信じて待っててあげてるなら、きっと直ぐに見つかるわよ。私だって、無事に帰ってきたんだからさ』」

佐天涙子「御坂さん……」

御坂美琴「『それに、一方通行が動いてくれてる。最強の超能力者で、学園都市の統括理事長で。その上、頼れる仲間がたくさんいる』」

 窓の外に視線を移し、新しく生まれ変わりつつある学園都市を見据える。

 その裏では、トリックスターと呼ばれる連中が騒いでいることを知った上で。

御坂美琴「『ふざけた連中相手に、絶対負けないわよ……。だから、初春さんも絶対に大丈夫……』」

佐天涙子「……そうですね」







 病院の中庭。

 アウレオルスはキョロキョロと辺りを見回していた。

アウレオルス(未然。まだ到着していないのか……)

 青髪の少年を待つアウレオルスに、声を掛ける車椅子の少年がいた。

美作アオイ「すんません、アンタが“アウレオルス”って外人さん?」

アウレオルス「む?」

 振り返ると、小包を膝に乗せた美作がいた。

 相変わらずの重傷患者振りなスタイルで、アウレオルスと対峙する。

アウレオルス「……如何にも。私に用事が?」

美作アオイ「別に。ただの頼まれ事さ」

 膝に乗せていた小包を渡すと、美作は何も言わずに去っていった。

アウレオルス「………呆然。して、この包みは……」

 中を開けてみれば、青髪ピアスの名が記載されていた。

 丁寧にも、配達を頼んだ少年はバブル無関係者だと追伸も書かれている。

アウレオルス「…………これは」

 中に入っていたのは、一冊の能力解説書(カリキュラム)。

 分厚い辞書のようなものだが、とあるページに青色の付箋が貼ってあった。

青髪ピアス『このページのマーカー部分。よーーーく読んで理解しときぃ』

 蛍光ペンで示された能力とその解説。

アウレオルス(……隠然。今一つ解せないが、これを理解することで新たな道も開けるか……)

 とある能力の理解に急ぐアウレオルス。

 彼がその能力を知る意味は、まだまだ先の未来にて明かされるのかもしれない。







 第七学区のとあるファミレス。

 店の外から店内を眺めている垣根に、花一と一方通行が近付いてきた。

垣根帝督「何の用だ」

一方通行「コンビニの帰りだ。缶コーヒーがなかったからなァ」

 お互い沈黙。

 気まずい空気の中、何とか話題を探そうと焦る花一だったが、最初に口を開いたのは垣根だった。

垣根帝督「このファミレスだ」

花一籠目「……え?」

一方通行「…………」

 垣根の急な発言に、二人ともが垣根に視線を送る。

 垣根は、目の前にあるファミレスに目を向けたまま続けた。



垣根帝督「初春と、初めて会ったんだ。このファミレスで……」



 花一は、純粋に聞いてみたいと思った。

 垣根と初春の、これまでの経緯を。

花一籠目「これ、一緒に如何ですか?」

垣根帝督「………………いらねえ……」

一方通行(だよなァ……)

 エクレアココナッツ(炭酸)はキッパリと断った。
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