とある学園の死闘遊戯 罪

□第03話 派遣
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 海原の報告を受けた後、皆の雰囲気は良いものではなかった。

土御門元春「まさか、あの空波って子までいなくなっちまうとは……」

白井黒子「……こうしている今も、次々と行方知れずとなる方々が、増えているのでしょうか……」

花一籠目「じ、じゃあ……、早く行動した方が……」

 行動しようにも、手掛かりらしい手掛かりが少な過ぎた。

 今ある情報に頼る形で、一歩ずつ地道に動いていくしかない。

垣根帝督「とりあえず、今は上条を待つことだな」







 上条は、スキルアウトの巣食う路地裏にいた。

 派遣要員の正体を突き止めるためだ。

 時折、携帯を使って一方通行と連絡を取る。

 直ぐ近くで待機しているはずだ。

上条当麻「派遣要員の情報を得た。今、そいつの根城に向かってる」

一方通行『了解。用心しとけよ』

上条当麻「あぁ」

 何度も怪しまれ、時には攻撃されたものの、上条は派遣要員の居場所を聞き出すことが出来ていた。

 派遣要員の“始末”というものが、どういうものか突き止めるため。

 上条当麻は根城に向かう。

上条当麻「…………ここか」

 情報通りの廃屋。

 ここに、派遣要員が暮らしているらしい。

上条当麻「すみませーん。派遣要員さんは、いらっしゃいますでせうかー?」

 声を掛けるが、返事はなかった。

上条当麻「……? すみませーん!」

 何度呼びかけても返事はない。

 ノックしても反応はなかった。

 ドアノブに手を伸ばしたところで、ようやく気付いたことがある。

上条当麻「………これは…」

 上条は、一方通行へと連絡を入れた。

一方通行『どォした?』

上条当麻「根城は確認したが、当人は出掛けてるみたいだ。ドアノブに“外出中”の札が下がってた」

一方通行『チッ。現在進行形でお仕事中ですってか……』

上条当麻「いや、派遣要員として駆り出されてるわけでもないらしい」

一方通行『あァン?』

 上条は、くるりと札を裏返す。

 “外出中”の裏には“出勤中”の文字が書かれていた。

一方通行『ご丁寧に使い分けてるってわけか……』

上条当麻「ここで待ってれば、向こうから帰ってくるはずだ。だから……」

一方通行『馬鹿が。どンな野郎かも分かンねェってのに、ボケーッと待ってるだけってわけにはいかねェだろォが』

上条当麻「でも、そうでもしなきゃ……」

 上条の発言が止まる。

 電話の向こうの一方通行が、別の連絡相手と通信しているらしい。

 雰囲気からして、いいものではなさそうだ。

上条当麻「一方通行? 何かあったのか?」

一方通行『………ラッキーなイベントが催されたみてェだぜ…』

上条当麻「ラッキーなイベント……?」

一方通行『第七学区を巡回中だった風紀委員が、監視カメラに映ってた最中に誘拐されたらしい』

上条当麻「ーーーッ!? なッ! 何言ってやがんだ!! どこもラッキーなんかじゃ……」

一方通行『冷静になれよ、バァカ。俺は、何処で、どんな状況で、何があったって言ったよ』

上条当麻「……え?」

 一方通行はこう言った。

 “第七学区”で“監視カメラに映ってた最中”に“風紀委員が誘拐”された。

上条当麻「ーーーまさか!?」

一方通行『ターゲットは目と鼻の先だ! 急げ上条! まだ事件発生から数分しか経ってねェぞ!!』

 通話を切り、一方通行から監視カメラの情報がデータとして送られる。

 上条たちがいる第七学区内で、何者かが風紀委員を誘拐した。

 カメラの情報から、ご丁寧に居場所まで残してまで。

上条当麻「待ってろよ! 絶対に逃がさねぇ!!」

 別の場所で、一方通行も行動に出る。

一方通行「さァて、リアル鬼ごっこの始まりだァ! ブチ殺しますから逃げてくださいってなァ!!」
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