とある学園の死闘遊戯 罪

□第03話 派遣
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 白井黒子は、空間移動を行使して一方通行たちより早く速く行動していた。

 少しずつ、だが確実に目標へと距離を詰めていく。

白井黒子「もう少しですわね……」

 次に空間移動した瞬間、目標の人物の目の前に立っていた。

 風紀委員を抱えて走っていたのは、青いシルクハットを被ったスーツ姿の男性だった。

白井黒子「風紀委員ですの! その方を解放し速やかに……」

????「……風紀委員ですか。これは好都合……」

白井黒子「ーーーッ!!?」

 ゾワァッと辺り一帯に寒気が走る。

 眼前の男が放っている雰囲気で、ここまで場の空気が一変した。

白井黒子(な、何なんですの!? この寒気は、まるで殺気ッ!?)

 ユラリ、ユラリと近付いてくる男に、白井は珍しく恐怖を自覚する。

 自分に近付いてくる男は、普通ではないことを肌で感じた。

白井黒子「と、止まりなさい!! それ以上近付くt」



一方通行「なァにをビビってやがンだァ!!」



 男と白井の間に、真っ白な少年が勢いよく降り立った。

 地面を大きく陥没させ、派手な着地で登場した一方通行に続き、上条も白井の後ろから走り寄ってきた。

上条当麻「白井! 一方通行! 悪い、遅れたな」

一方通行「気にすンな。俺も今来たところだ」

 二人の到着に、白井は安堵した。

 三対一なら心強い。

????「……ふ〜む。これは条件としても不利ですね……。退散するとしますか」

 抱えていた風紀委員を下ろすと、男はその場で足踏みをする。

一方通行「ハッ、逃げられるとでも思ってンのか? こちとら逃がすつもりなンざねェンだよ!」

????「アナタ方になくとも、私にはあります。それでは御機嫌よう」

 ブワァンッという勢いと共に、男が一瞬で前進する。

 その速さは一方通行や上条の反応を遅らせるほど俊敏だった。

一方通行「ーーーッ!?」

上条当麻「ーーーなッ!?」

 しかし、白井の反応も早かった。

 勢いよく走り去って行く男に振り返り、走り続ける男の前方へと空間移動した。

白井黒子「逃がしは、しませんわッ!!」

 辺りにあるガラクタに次々と触れていく。

 触れたガラクタは全て白井の前へと空間移動し、男を塞き止める壁と化す。

 しかし……。

????「好物ではありませんが、致し方ありません」





????「……いただきますッ!」





 男は壁に食らいつき、その顎でベキベキと粉砕した。

白井黒子「ーーーッ!!? そ、そんなッ!?」

????「失礼します。アナタも厄介な方のようですので」

 白井の横を通り過ぎる間際、男は白井の左腕に噛みついた。



 瞬間。

 何の躊躇いも時間もなく、白井の左腕をバキバキと音を立てて食い千切った。

 人工皮膚がベリベリと剥がれ、ネジや軽量の機械パーツがバラバラに散らばる。



????(……む?)

白井黒子「ーーーひぎッ!!」

 速度を落とさず走り抜けた男は、地に膝をついて倒れる白井を後ろ目で見据える。

????「義腕でしたか。運が宜しいようですね。では、さらばです!」

 ブハッ、と壁の材質や白井の義腕を吐き出して、男はあっという間に走り去ってしまった。

 破壊された義腕を見ながら、走り寄ってくる二人の足音を聞いた白井。

 恐怖と痛みと、命が助かった安堵を感じつつ、意識を手放した。
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