とある学園の死闘遊戯 罪

□第04話 人選
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 一方通行は、ソンシャンに問う。

一方通行「その仮説ってのは何なンだ?」

 ソンシャンは、ゆっくりと説明する。



ソンシャン「“グゥラー=ボォショック”という方のお話です。と言いましても、もうお分かりですよね?」



 その名を聞いた一方通行は、頭の中で計算する。

 男の名をラテン語に変換し、必要不必要の文字を解析し組み替える。

 その結果、七つの大罪の一つが浮かび上がった。

一方通行「……文字通りじゃねェか。そいつは“暴食”のトリックスターだな」

上条当麻「“暴食”……。確かに、ボォショックなんて名前、文字通りって感じだな……」

 そう言った上条だが、一方通行が指摘したのは名字ではなく氏名の方だ。

 “暴食”はラテン語で“グーラ”なのだから。

 しかし、そんな細かいところを気にすることはない。

 さっさと話を進めた。

ソンシャン「まだ仮説です。トリックスターだとは断言できませんが、このグゥラーという男について嫌な情報が二つあります」

上条当麻「……何なんだ?」



ソンシャン「グゥラーは、既にこの第七学内に潜伏している可能性があります」



 それを聞いた一方通行たちの反応は、意外にも大きくはなかった。

一方通行「だろォな」

ソンシャン「……おや、もっと驚くかと……。ちなみに顔写真も用意してあります」

 神父服の中から写真を取り出し、一方通行たちに差し出した。

上条当麻「……やっぱりな」

一方通行「……そォいうオチだとは思ってたっつーの」

 そこに写っていたのは、あの青いシルクハットを被ったスーツ姿の男性だった。

 こうして見ると、異常なほど細身であることが分かった。





ソンシャン「実を言えば、彼はここで食事をしていました。俺としたことが、気付くのが遅れt」

一方通行「そっちの方が驚きだっつゥンだよ!! 何やってンだテメェはァッ!!」





 自分の近くで席を移動していた細身の男性。

 彼こそが、トリックスター“かもしれない”男であるグゥラー本人だったのだ。

 そのことに気付いたのは、当人が店を出てソンシャンが写真に目を向けた時だった。

ソンシャン「一生の不覚……。クッソォ…腹立たしい………」

一方通行「俺はテメェが腹立たしいっつゥンだよ、ボケが」

上条当麻「まぁまぁ、それくらいにしとけって……。でも、何でグゥラーの顔写真なんて持ってたんだ?」

 その問いに、咳払いしたソンシャンが指を動かした。

 空中を旋回していた文字が並びだし、上条の前で組み上がる。

上条当麻「これって……“グゥラー=ボォショック”って読むんだろ? さすがの上条さんも、大体の読みが分かれば解けますことよ?」

一方通行「………ここにも馬鹿がいやがったか…」

上条当麻「え!? あ、あれ〜……。この読み方で自信あったんだけどなぁ……」

 心底ウンザリした一方通行は溜息を吐いた。

 空中を飛ぶ文字を指差してヒントを与える。

上条当麻「…………あッ!!」

一方通行「遅ェっつーの」

ソンシャン「これが、二つ目の嫌な仮説です」



 グゥラーが学園都市に侵入している可能性。

 そして、それがほぼ間違いないことと、第七学区内にいる可能性。

 更に加わる新情報。



 空中を飛ぶ文字は、全国指名手配犯の氏名。

 グゥラー=ボォショックの名が浮かんだ以上、推測される可能性は一つ。





 六人のトリックスターは、全国指名手配犯で統一されているかもしれないのだ。
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