とある学園の死闘遊戯 罪

□第05話 食堂
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 地上の玄関口からロープを下ろし、土御門と海原が被害者たちを脱出させる。

 白井と花一は地下室に下りると、被害者たちをロープ下まで誘導する。

空波陸「………白井…さん…」

白井黒子「間に合ったようですわね」

 見つけた被害者に触れていき、次々と地上へ空間移動させていく。

 上に届いた被害者は、海原がバスの中へとエスコートする。

 ちなみに、このバスはグループの下部組織が調達したものだ。

海原光貴「急ぎましょう! 容体が危険な方もいらっしゃいます!」

土御門元春「チッ、バス内のスペースにも限界があるぞ……!」

 多くの被害者を相手にする地上組と同様に、被害者を捜す地下室組も苦戦していた。

 ここで全員を連れて帰らなければ、二度手間になる。

 更には、容体の危険な被害者がいるのならば、一度目で見つけられなければ助けられなくなる可能性もある。

白井黒子「助けに参りましたの!! 誰かいませんかぁ!!」

花一籠目「返事してくださーい!! 助けに来ましたー!!」

 必死に呼びかける白井と花一。

 その中で、花一は一番焦っていたかもしれない。

花一籠目(……ナッちゃん……! 返事して……!!)

 まだ、親友の姿が見当たらない。







 次々と被害者が解放されていく様子を、グゥラーは涼しげな表情で見送った。

グゥラー「せっかく調達した食料でしたのに……」

 血で赤く染まった口元を拭い、鮮血で血塗られたナプキンを首から外す。

 骨と皮しかないのではないかと錯覚するほど極端に細身な体。

 青色のシルクハットにスーツ姿のグゥラーは、ナイフとフォークを四本ずつ取り出す。

 両手指の間に一本ずつ挟み込み、涎をダラダラと垂らしながら身構えた。

グゥラー「私がマナーを叩きこんで差し上げましょう……。尤も、アナタ方も私の食材なのですが、ねッ!!」

 腕を振り被ってナイフを放つ。

 身を捻って避けてみせる上条に対し、一方通行は真正面から全て受けた。

 しかし、その全てがグゥラーへと反射する。

グゥラー「おや?」

 跳ね返ってきたナイフを上手くキャッチするが、意外な結果に隙が生まれた。

 一方通行がグゥラーの懐に侵入する。

一方通行「余所見か……。余裕じゃねェか、あァ?」

グゥラー「ーーーッ!?」

一方通行「遅ッせェンだよォッ!!」

上条当麻「うぉぉおおおお!!!!」

 グゥラーの左腕を掴む一方通行に続き、飛び掛かった上条がグゥラーの顔面に拳を叩きこむ。

 勢いに任せて左腕が引き千切れ、グゥラーは後方へと殴り飛ばされた。

 テーブルとイスを粉々に粉砕し、グゥラーの体が叩きつけられた。

一方通行「忘れ物だぜ? まァ、いらねェだろォけどな」

 引き千切れたグゥラーの左腕を投げ捨てると、一方通行は上条へと視線を移した。



 そして気付いた。

 うずくまっている上条の、様子がおかしいことに。

一方通行「……? オイ、どうした上条……」

上条当麻「ーーーぐ」





上条当麻「ぐぁぁぁああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」

 上条の、右手首から鮮血が噴き出す。

 幻想殺しが、丸ごと食い千切られていた。





一方通行「ーーーなッ!!? か、上条ォ!!」

 すぐに状況を把握した一方通行は、殴り飛ばしたグゥラーへと一気に突っ込んで胸倉を掴み上げる。

 その口内に、まだ右手が残っていた。
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