とある銃器の天界戦争
□第04話 砂漠
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山を越えた先に広がっていたのは、海のような砂漠地帯。
名を“カラ砂漠”という。
汗だくになる浜面と、何故か平然とした様子で歩く滝壺。
能力が使えない一方通行も汗を拭いつつ、苦い表情で考えていた。
一方通行「あのガキは中級天使兵だったか……。つゥことは、何かと仕切ってやがるチビガキは、その更に上ってわけか……」
浜面仕上「しかし、あの子が130番ってことはかなり上の階級だぜ? 噂の卍解が使えてもおかしくなさそうだし、まだ実力も知れねぇよ」
滝壺理后「仮に使えなかったとしても、みどりって子がどれほど強いのか、分からないもんね」
一方通行「とにかく厄介なのは、あのガキの能力だ」
桃香の持つ磔神の能力。
殴ったものをその場に磔にする力。
得物を交えた瞬間に、その得物が手から離れなくなり、一撃でも身に受ければ足が地面から動かなくなってしまう。
浜面仕上「でも、何で動けるようになったんだ? それまではピクリともしなかったんだろ?」
一方通行「さァな。そいつも考えなきゃなンねェか……」
そこで、不意に滝壺が口を開いた。
滝壺理后「多分だけど、能力解除の仮説が三つ立てられるよ」
一方通行「……言ってみろ」
その仮説を、滝壺が説明した。
滝壺理后「まず、あの子自身の集中が乱れること。二つ、あの子の手から得物が離れること。三つは、得物が地面に落ちること。こんな感じかな」
これらは、あの時に起こっていた戦況である。
どれかが正しいのか、または別の理由があるのか。
一方通行たちには分からなかった。
カラ砂漠のド真ん中に位置する場所には、古びた大きな遺跡があった。
ここが、一方通行の持つ天界戦争と何らかの関わりがあるとされる“天封遺跡”である。
一方通行「別に変ったモンは見られねェな」
浜面仕上「そうだな。宝物がある、って感じでもなさそうだし」
滝壺理后「…………」
ここに来て、滝壺の口数は無に等しかった。
元から口数が少なかったとはいえ、さすがに不自然に思えることもある。
浜面仕上「どうしたんだ? 何かあったのか?」
滝壺理后「……何でだろう…。話が旨過ぎる気がする…」
その言葉には、一方通行たちも少しだけ反応した。
浜面仕上「旨過ぎるって、何のことだ?」
一方通行「何か分かったってのか」
滝壺理后「……多分、天界戦争を遺跡内で振るといいと思う。何だか、そんな気がするの」
まるで意味が分からない。
そう思いつつも、一方通行は天界戦争の刀身を現出させた。
一方通行「何もしねェよりマシだろ」
その瞬間だった。
先ほどまで頑丈に作られていたはずの遺跡がバラバラと崩れ始めたのだ。
一方通行「ーーーッ!?」
滝壺理后「崩れる!」
浜面仕上「お、おい! とにかく脱出するぞ!!」
遺跡の出入り口を目指して走る一方通行たち。
バラバラガラガラと崩れていく遺跡から脱出した後には、ただの瓦礫と化した成れ果てだけが残っていた……わけではなかった。
一方通行「……何だ、ありゃ……」
一方通行が睨む先は、遺跡の中心地。
赤い長髪を持つ、黒い鎧を着た女性が立っていた。
????「…………」
女性は静かに歩み寄り、一方通行の前で立ち止まった。
????「貴様が天界戦争の持ち主か」
一方通行「何モンだテメェは」
天門寺音々「我が名は“天門寺音々(テンモンジネネ)”。その昔、天界戦争によってこの地に封印された“上級天使兵”である」