とある銃器の天界戦争
□第07話 宮殿
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木原は、心愛と浜面や滝壺を連れて宮殿を目指していた。
少しだけ遅れて、一方通行が合流する。
一方通行「あくまで可能性だが、このふざけた設定を組みやがった黒幕が宮殿にいる。そいつをブチ殺してハッピーエンド。間違いねェな!?」
木原数多「あくまで、って言ってくれんなら間違いねぇよ! つーか、あの木偶人形共は天使に任せてきちまっていいのかよぉ!」
一方通行「問題ねェよ!」
走りながら、一方通行は宮殿を目指しつつ後方を確認する。
一方通行「全員、本気出しやがったからな」
木偶人形を一体ずつ殴り続け、次々と身動きを制限させていく桃香は、涙目になりながら悔しさを叫ぶ。
白河桃香「才能ないのが悪いんだもーん! でも私も卍解しーたーいー!!」
喜界島美鳥「…才能がないんだから、仕方がないよ…」
あっさりと返答しながら、美鳥は機械の翼を大きく広げる。
そして、油蜂の力を全解放した。
喜界島美鳥「…“卍解”…」
背中から生えた機械の翼が、美鳥の体を包み込んでいく。
ガチャガチャと機械音を立てながら、機械の翼が少しずつ形を変えていった。
やがて音が止んだ時、そこには機械の鎧に身を包んだ美鳥の姿があった。
喜界島美鳥「…“群体油蜂(グンタイアブラバチ)”……。あらゆる攻撃を受け付けない、最高防御の力…」
美鳥の解放と共に、躊躇わずに卍解した者がもう一人。
白井黒衣「“卍ッ解!!”」
“暴君帝王・闇皇子”と化した黒い右腕を振りかざし、一体の木偶人形を鷲掴みにした。
その瞬間、掴まれた木偶人形は一瞬でボロボロと朽ち果てていき、最終的には砂と化してしまった。
白井黒衣「なんだなんだァ!! こんなもんかよ、クソつまんねぇ!!」
清水鈴梨「大声出すなって……、うるさいな……」
刀と脇差である“鬼神”を構えた清水が、辺り一帯を埋め尽くしている木偶人形たちを示して言った。
清水鈴梨「いくら雑魚でも、こんだけいるんだ。退屈はしないだろ?」
白井黒衣「ナメてんのか! ちまちました戦いなんざ趣味じゃねぇよ!」
清水鈴梨「……そうかい」
鬼神を握りなおした清水は、少しだけ声色を変えた。
清水鈴梨「なら、さっさと片付けて趣味の戦いに戻ればいいな」
清水鈴梨「“卍解”……」
鬼神の能力は、防御力に長けた刀と攻撃力に長けた脇差で戦うだけの力だ。
しかし、それらが卍解し完全解放することで、まったく違った能力が発動する。
清水が持っていた刀を手放した瞬間、それはスゥッと地面に吸い込まれていった。
手にしているのは、もう脇差一本だけ。
そんな清水へと、物言わぬ木偶人形が襲い掛かってきた。
清水鈴梨「……はい、拘束」
その瞬間、襲い掛かってきた木偶人形も含めて、近場にいた何百体もの木偶人形が行動不能に陥った。
理由は、地面から何本もの刀が飛び出し、木偶人形の片足を貫いたからだ。
清水鈴梨「……はい、死刑」
動けなくなった何百体もの木偶人形たちの首の高さを狙って、脇差を振るった。
脇差が、まるで鞭のように刀身が伸び、木偶人形たちの首を一瞬で刎ね飛ばした。
清水鈴梨「俺の卍解“牢獄鬼神(ロウゴクキシン)”は、罪人処刑用の魂銃(エンジェルピース)だ。木偶人形が相手なら、何億体でも相手にしてやるよ」
白井黒衣「おっかねぇ先輩だなァ、オイ」
清水鈴梨「お前ほど狂気的ではないさ」