とある学園の死闘遊戯

□第01話 始
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一方通行(……………あァ? なンだってンだ?)

 携帯を耳に当てて待機する一方通行は、奇妙なことに気付く。

 相手が通話に応じる以前に、コール音すら鳴らないのだ。

一方通行(アンテナはバリバリだろォが。それで“繋がりませン”じゃ世話ねェっつーの)

 一方通行は発信を切る。

 どういうわけか、電波は来ているが連絡が取れないらしい。

 これでは意味がない。

一方通行(打ち止め自身が電波の届かねェ場所にいる可能性もある……。この場所が学園都市の何処なのか分からねェなら、電極のバッテリーは温存した方が得策か……)

 あくまで学園都市内にいることは仮定だったが、状況を把握するには領域を限定した方がいい。

一方通行(あの医者にも連絡してみるべきか……。気に食わねェが、俺とは違う考え方を提示してくるかもしンなェからなァ……)

 一方通行は警備員である黄泉川に連絡しようとは思わなかった。

 本人が聞いたら殴られそうだが、下手に巻き込めば取り返しがつかないこともある。

一方通行(悪りィな……)

 心の中で、誰に向けているのか分からぬ謝罪をした一方通行は、学園都市の名医・カエル顔の医者へと発信した。

 コール音が鳴り始める。

一方通行(っつーことは、やっぱクソガキは圏外領域ってかァ? 笑わせやがる……)

 コール音が鳴り止み、カエル顔の医者の声が聞こえる。

冥土帰し『もしもし?』

一方通行「俺だ。ちっと聞きてェことがある。有無なンざ聞いてらンねェからさっさと答えてもらうぜ」

冥土帰し『……………………もしかして、一方通行かい?』

一方通行「はァ? 他に誰がいるってンだ? そうに決まってンだろ」

冥土帰し『…………』

一方通行「…………オイ」

冥土帰し『……ん? あぁ、すまない。少々……いや、非常に驚いてねぇ……』

一方通行「はァ?」

 今の会話のどこに驚く要素があったのだろうか。

 一方通行が電話をかけてきたことに驚いているようにしか捉えられない。

一方通行「ボケが始まるには早すぎるぜ」

冥土帰し『僕自身も、まだボケるつもりはないんだけどねぇ……。疲れでも溜まっているのかなぁ……。目の前の現実が呑み込めないんだ』

一方通行「あァン? さっきから何わけの分かンねェことほざいてやがる」

冥土帰し『だってねぇ……。今、僕の目の前の寝台に……』





冥土帰し『君が寝ているんだよ?』


一方通行「………は、ァ……?」
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