とある海賊の航海日誌
□02日目 金髪の盗賊
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上条当麻「まさか、牢獄内で再会するとはなぁ」
一方通行「死ね。クッソォ、あの野郎……。血液逆流させるだけじゃ気が済まねェ……」
一方通行と上条は、何処かの施設内を歩いていた。
牢獄で目を覚まし、上条と再会した一方通行が鉄格子を引き裂いたのだ。
ちなみに、彼ら二人を追いかけてくる男が一人。
一方通行「“土御門元春”っつったか。何でついてきやがる」
土御門元春「いやー。アンタの力で脱獄できたんだし、俺もお礼の一つでも……って思ってるんだにゃー」
一方通行「いらねェ。消えろ」
土御門元春「まぁ、そう言わずに。欲しい物があるなら、盗ってきてやるぜよ?」
上条当麻「“盗ってくる”って、盗賊なのか?」
土御門元春「まぁな」
一方通行「…………」
不意に、一方通行が足を止めた。
一方通行「せっかく盗んだ海図とコンパスを取り上げられちまった。代わりを持ってこれるか?」
土御門元春「正確には“盗ってこれるか?”だな。お安い御用だぜい」
一方通行「じゃァ頼むわ」
土御門元春「らじゃー!」
そう言うと、土御門はさっさと立ち去ってしまった。
おそらく、海図とコンパスを探しに行ったのだろう。
一方通行「邪魔な野郎は消えたな。とっとと行くぞ」
上条当麻「え? 土御門のやつはいいのかよ?」
一方通行「ああいう馬鹿は追い払うのが美学だ。海図とコンパスくれェ俺が調達する。あの店主をブチ殺したら島を出るぞ」
上条当麻(目的の優先順位が変わってるな……)
建物の出入口が見えてきていた。
どうやら、この島を統べる城の城内らしく、立派な装飾がちらほらと窺えた。
上条当麻「この島のお偉いさんに捕まってたんだなぁ……。俺ら」
一方通行「どォでもイイ。ここを出たら能力全快で暴れてやる」
上条当麻「滅ぼさない程度でな」
しかし、それが叶うことはなかった。
城を出ようとした矢先、一方通行と上条の首筋に何かが刺さった。
一方通行「あァ?」
上条当麻「え?」
しかしが揺らぎ、意識が遠のく。
バタバタと聞こえる足音を聞き、城の兵隊が駆け寄ってくる様子が、ぼんやりと見えた気がした。