とある狭間の平行世界

□第03話 第四学区A
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 浜面は、麦野から学園都市の地図を見せてもらった。

 学園都市の中心に、第一学区。

 第一学区の北部に、第二学区。

 南部に、第三学区。

 そして西部に、第四学区。

 これが学園都市の全貌だという。

麦野沈利「新たに開拓される第五学区を含めても、第十九学区なんてありゃしないよ」

絹旗最愛「大丈夫ですか? 頭、超痛くないですか?」

 真剣な表情で当たり前のことを解説する麦野と、真剣な表情で瞳を潤ませてマジで浜面を心配している絹旗。

 この二人の性格も気になるが、今現在の立ち位置が最も気になる浜面。

 そして、この学園都市は一体何なのか。

浜面仕上「……な、なぁ…、滝壺はどうした?」

 また、ちょっと気になっていたこと。

 この二人の面子に、あと一人加わっていない顔がある。

 滝壺理后。

 浜面の彼女であり、このメンバーでこの場にいない少女。

麦野沈利「………いやー、それは…。逆にこっちが聞きたいことなんだけど」

浜面仕上「へ?」

絹旗最愛「浜面と滝壺さんで、今日は超遊園地デートじゃなかったんですか? 今日の朝、滝壺さんと一緒に第一学区へ超出かけていったじゃないですか」

浜面仕上「え?」

 そのタイミングで、新たに部屋の扉を開け放った者が“二人”いた。



滝壺理后「もぉ、お財布忘れちゃダメだよ“はまづら”……」

浜面仕上「いやぁ、悪い悪い。そんなわけで、一旦戻ってきちま、いま…し……た?」



 顔を合わせる二人、いや…一人? いや、二人。

 浜面仕上と浜面仕上は、お互いの顔を確認して硬直した。

滝壺理后「……え?」

麦野沈利「……は?」

絹旗最愛「……ふぇ?」

浜面仕上A「…………」

浜面仕上B「…………」

 五人による驚愕の絶叫が、第四学区中に響いた。







 全てを説明せざるを得なかった。

 浜面が二十三まで学区が存在する学園都市の第十九学区にて、気を失ったこと。

 気が付けば、まったく別の学園都市の第四学区にいたこと。

 ちなみに、浜面の元いた世界にも麦野たちはいて、そっちにいる滝壺が彼女であることも。

浜面仕上「以上が、この俺の経緯だ。だからこっち側の常識を知らねぇんだ。第四学区が危険区域だってことも含めて」

 最初に説明されていても信じられなかっただろうが、浜面が二人いることと学区内で倒れていた浜面の一般常識の無さから、四人も信じざるを得ない。

絹旗最愛「もう一つの、学園都市ですか……」

麦野沈利「……それで? 別世界の浜面はこの後、どうするつもり?」

浜面仕上「……ここが俺の住んでた学園都市じゃないなら、やっぱ帰らねぇと…。情報収集も兼ねて、第一学区に行ってみたい。悪いけど、案内してくれねぇか?」

 ピクッ、と三人少女の眉が動く。

 第一学区に、浜面を……。

絹旗最愛「よしッ、浜面。ついでに一緒に映画でも超観に行きましょう!」

滝壺理后「待って! 例え二人でも今日のはまづらは私のものだよ!」

麦野沈利「二人いるのに順番なんざ待てるか! 来い、浜面! 案内してやる代わりに一緒にショッピング!」

浜面仕上「こっちの俺はどんな生活送ってやがんだよ、おいッ!!」

浜面仕上「いや、見たまんまだよ。日に交代で彼女変えて、デートしたりホテル行ったり」

浜面仕上「それでいいのかよ、この虫野郎!!」

浜面仕上「あながち間違っちゃいないぜ?」

 非常に奇妙な面子の完成。

 二人の浜面を連れた麦野たちは、学園都市の第一学区を目指して歩み始めた。







 そして、三人の英雄たちが再び交差する。

 別世界の学園都市で巻き起こる事件。

 三人がこの世界に飛ばされてきた理由。

 物語の歯車は少しずつ、だが確実に、ゆっくりと回り始めている。



  【第04話につづく……】
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