とある囚人の更生記録
□第04.0話 行
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アルプス山脈というものをご存知だろうか。
アニメを見ていた方には“ハイジ”を思い浮かべてみよう。
木原数多「………死後の世界ってのは、どぉなってやがんだ……」
島田楠男「ま、何でもありって思ってくれ」
そして現在、木原たちは“それっぽい所”に来ていた。
島田が“ヤッホー!”と叫んでいる。
木原数多「はぁ……、頭が痛ぇ………」
到着して直ぐにお昼となり、午後はのんびりと過ごした。
折角ピクニックに来たのだから遊べばいいものの、こういう時の遊び方というのを知っているものはいなかった。
島田があれこれと誘っていたが、当人の木原と心愛は乗り気になれなかった。
二人とも初めてのことばかりだ。
島田楠男「……何のために来たんだっけ……?」
木原数多「さぁな」
????「少なくとも、僕は通達と連行ですね」
突然の声に、木原と島田は身構えた。
声は後方。後ろに振り返る。
そこには、ボサボサの黒髪にグルグル眼鏡の少年がいた。
木原数多「テメェ誰だ……」
水嶋蒼「水嶋蒼と申します。こう見えて、天界の住人です」
島田楠男「て、天使だっていうのか!?」
木原数多「天使だァ?」
“死後の世界”に“天使”。
ここはいつから天国になったのだろう。
もしろ真逆な世界である。
水嶋蒼「知っての通り、僕のような天使がこの世界に来るのは珍しいことです。ここに来る場合の理由は三つ……」
島田楠男「…………」
島田は口を開かない。
驚愕の表情から察するに、この事態に戸惑っているようだ。
水嶋蒼「一つ目は、この世界の住人に成りすまして偵察すること。この場合、自らを天使と名乗ってはいけない決まりがありますので、今回の件には当てはまりません」
木原数多「ベラベラとうるせぇ小僧だ。今回の件に当てはまることだけ言いやがれ」
水嶋蒼「………それもそうですね」
水嶋は、グルグル眼鏡を外して木原に述べた。
自分が、この世界に来た理由を……。