とある囚人の更生記録

□第04.0話 行
2ページ/5ページ


 アルプス山脈というものをご存知だろうか。

 アニメを見ていた方には“ハイジ”を思い浮かべてみよう。

木原数多「………死後の世界ってのは、どぉなってやがんだ……」

島田楠男「ま、何でもありって思ってくれ」

 そして現在、木原たちは“それっぽい所”に来ていた。

 島田が“ヤッホー!”と叫んでいる。

木原数多「はぁ……、頭が痛ぇ………」







 到着して直ぐにお昼となり、午後はのんびりと過ごした。

 折角ピクニックに来たのだから遊べばいいものの、こういう時の遊び方というのを知っているものはいなかった。

 島田があれこれと誘っていたが、当人の木原と心愛は乗り気になれなかった。

 二人とも初めてのことばかりだ。

島田楠男「……何のために来たんだっけ……?」

木原数多「さぁな」



????「少なくとも、僕は通達と連行ですね」



 突然の声に、木原と島田は身構えた。

 声は後方。後ろに振り返る。

 そこには、ボサボサの黒髪にグルグル眼鏡の少年がいた。

木原数多「テメェ誰だ……」

水嶋蒼「水嶋蒼と申します。こう見えて、天界の住人です」

島田楠男「て、天使だっていうのか!?」

木原数多「天使だァ?」

 “死後の世界”に“天使”。

 ここはいつから天国になったのだろう。

 もしろ真逆な世界である。

水嶋蒼「知っての通り、僕のような天使がこの世界に来るのは珍しいことです。ここに来る場合の理由は三つ……」

島田楠男「…………」

 島田は口を開かない。

 驚愕の表情から察するに、この事態に戸惑っているようだ。

水嶋蒼「一つ目は、この世界の住人に成りすまして偵察すること。この場合、自らを天使と名乗ってはいけない決まりがありますので、今回の件には当てはまりません」

木原数多「ベラベラとうるせぇ小僧だ。今回の件に当てはまることだけ言いやがれ」

水嶋蒼「………それもそうですね」

 水嶋は、グルグル眼鏡を外して木原に述べた。

 自分が、この世界に来た理由を……。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ