とある禁書の二次創作

□一周年記念小説リベンジ【予告宣伝版】
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 江戸の町。

 活気あふれる陽気な町並みの中の宿屋。

 そこには、随分と昔から宿代も払わずに居座っている旅人が二人。

 もはや、宿代ではなく家賃に等しい。

 ガタガタの戸を叩きながら、宿屋の主が怒鳴り声を上げる。

宿屋の主「おい、ゴルァッ! 上条!! とっとと出てこい! 金、払えや!!」

 ついには戸を壊してまで侵入してきた宿屋の主に、大慌てで対応したのはもう一人の住人・浜面仕上だった。

浜面仕上「ちょちょちょちょ! 待ってくださいよ、旦那ぁ! 今、大将呼んできますから」

宿屋の主「こちとら、さっきからずーっと呼んでんだろうが! とっとと出て来い! ぶっ殺すぞ!」

 その時、部屋の奥からジャーッと水の流れる音が聞こえてくる。

 ヨタヨタとした足取りで、お腹を抑えながら姿を現した男。

 彼こそが宿屋の主が呼んでいた男・上条当麻だった。

上条当麻「いやー、すんません。どうも胃の調子が悪くて……。やっぱ下しちゃいましたよ」

宿屋の主「よし殺ろう、今すぐ殺ろう」

浜面仕上「待って待って、旦那ぁ! ていうか大将も空気読んでくれぇ!!」







 頭に拳骨を落とされてタンコブを作った上条と、とばっちりを受けて同じ目に遭っている浜面は、二人で並んで土下座していた。

上条当麻「……どうか、もうしばらくの猶予をください」

浜面仕上「それと、あともう少しだけ泊めてください」

宿屋の主「テメェら何度同じセリフを吐きゃ気が済むんだよ! いっつもいっつもそればっかじゃねぇか!!」

 そう言いつつ追い出していない宿屋の主は、結局はお人好しなのかもしれない。

宿屋の主「第一“幻想殺し”だか何だか知らねぇが、んなもん下げて“陰陽師”なんかやってる暇があんなら、真面な仕事して稼いだらどうなんだよ! あぁ!?」

浜面仕上「あ、その点は同意見です」

上条当麻「そこだけは、上条さんは断じて譲りませんことよ!」

 幻想殺し。

 上条の右手には“異能を打ち消す力”が宿っており、その力を武器に“陰陽師”の職に就いていた。

 だが今の世には“霊”などが関する事件など滅多になく、精々お守り用の札や護符を書いて売るのが良いところだった。

 ちなみに、上条の右手にしか異能の力は宿っていないため、それらの道具の力はあまり強くはない(まったくないわけではない分マシではある)。

宿屋の主「ったく。来月こそは払ってもらうからな! それと、戸の修理代も請求しとくぞ」

 それはお前の仕業だろ、と突っ込みたかったが、泊めてもらえるだけありがたいので何も言わなかった。

 先月も同じことを言って帰っていったので、来月になって払えなかった場合でも追い出されることはないだろう。

 宿屋の主が帰って行ったのを確認すると、浜面は上条に相談する。

浜面仕上「なぁ、大将。もうここを出てった方がいいんじゃないか? さすがに申し訳ねぇって」

上条当麻「いいや、ダメだ。今まで旅をしてきた中で、この町ほど亡霊の気配を強く感じた町はなかった。完全に祓うまで俺は町を発たないつもりだ」

浜面仕上「………まぁ、それはそうなのかもしれねぇけど…」

 もともと浜面は旅人ではない。

 生まれはこの町とは違う町だが、流れに流れて上条とはこの町で出会った。

 浜面には霊的な能力は何もないが、上条の助手として旅に同行するつもりでいた。

 いまだに出発できてはいないのだが。

上条当麻「……よし。それじゃあ、お札なり護符なり売ってくるついでに、町を回って亡霊の気配でも探してくるぜ」

浜面仕上「お、おぉ……。行ってらっしゃい……」

 何の事件も起こらなければ、浜面に役目など回ってこない。

 専門職に近しい“陰陽師”であるのは、あくまでも上条一人だけなのだ。

上条当麻「この調子じゃ、来月まで何も起こりそうにねぇなぁ……。やべぇ、また腹が痛くなってきた……」

 そんな小言を呟きながら、上条は江戸の町を歩き始めた。





 来月、上条の知らぬところで本当の恐怖が次々と始まることも知らずに……。





 陰陽師の末裔・蘆屋道三を中心とした火曜時代劇“怪談百物語”を原作・原案とした、怪談昔話。



 陰陽師・上条当麻と、各物語の準主人公たちに襲い掛かる物語に、どうか一票宜しくお願い致します。
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