とある禁書の二次創作

□一周年記念小説リベンジ【予告宣伝版】
4ページ/4ページ


 闇夜の住宅街。

 赤いランプ光らせる何台ものパトカー。

 とある一軒家の前に集まった警察官に混じって、一人の刑事が首を鳴らす。

一方通行「やァっと追い詰めたぜェ……。突入だァ!!」

 一方通行刑事の声を合図に、集められた警官が一斉に一軒家へと駆け込んだ。

 一方通行に近付いてきた新米刑事・上条当麻も嬉しそうに言い寄る。

上条当麻「やったな、一方通行!」

一方通行「ったく、よォやく肩の荷が下りt」

 パリィンッと窓ガラスが割れる音が響き、一軒家の中から黒い影が隣の家の屋根へと飛び移った。

警察官A「一方通行さん! 逃げられましたぁ!!」

一方通行「辞職しろ!! クソッタレがァ!!」

 怒鳴り声を上げると共に、上条を近くに停まっていたパトカーの助手席にブチ込んだ。

 対して一方通行は運転席に座るのではなく、後部座席へと飛び乗った。

 そして、既に車内で待機していた運転手・浜面仕上に命令する。

一方通行「絶対ェ逃がすな!! 死ンでも追いかけろォ!!」

浜面仕上「努力は惜しまねぇよ。大将もしっかり掴まってなぁ!」

 一軒家から逃げ出した影を追いかけて、パトカーが勢いよく走り出した。

 人の足とパトカーの速度では、どちらが早いかなど明白だ。

 しかし、逃げている方は煙幕弾を放って嘲笑う。

 ボゥンッと視界を塞がれた一方通行たちの耳に、追っていた者の声が聞こえる。



木原数多「刑事の諸君! ご苦労だったね。でも残念! “怪盗木原”は空き巣だって成功させちゃうんだもんね〜」



 煙幕が晴れた時、もう追わなければならない者“怪盗木原”はいなくなっていた。

一方通行「クッソォ……ッ。木ィ原ァァァ!!」

 一方通行は、ただ悔しげに拳を握った。







 朝日が昇った翌日の、とあるファミレスにて。

 男性が読んでいた新聞には、早くも昨晩のニュースが記されていた。

 “怪盗木原、またもや参上! 今度は空き巣に成功する”

 “怪盗木原”とは一族ぐるみの悪党であり、人によっては“木原一族”とも呼ばれている。

 その業は神業以外の何ものでもなく、大泥棒から万引きまで、あらゆる悪行を“絶対に捕まることもなく成し遂げる”のだ。

 まぁ、見つかってしまうことはあるのだが、捕まらなければ意味はない。

 そして不思議と、木原一族の者が何処にいるのか誰も知らないのだ。

 もしかしたら、人混みに中に平然と混ざり、すぐ近くにいるのかもしれない……。

木原数多(まぁ、ここにいつんですけどねぇ〜……)

 新聞を折りたたみ、堂々と昼食を食べに来ている。

 これで誰も気付かないのだ。

 向かい席に座っていたお団子頭の女の子が話し掛ける。

木原円周「数多おじちゃん、昨日は何を盗ってきたの?」

木原数多「ん? あぁ、パチンコで大負けしたもんだから、お小遣いをちょっとな」

 “怪盗”という名の無限の悪行に人生を注ぐ木原一族。

 彼らが平然と日常に溶け込んでいることに誰も気付かず、また木原も下手に目立たないことに気を配っているため気付かれることもない。



 今まで、そうやって来たはずだったのに……。



木原数多「ちょっと待て。刑事さんよぉ」

 この後で起きてしまった、ファミレス内での殺人事件。

 駆けつけた警察のド下手な捜査に痺れを切らしてしまった木原は、ついに声を上げてしまったのだ。

一方通行「あァン? 何だ、オマエ?」

 しかも……。





木原数多「“探偵”だよ、クソッタレ」





 そう名乗ってしまう特典付き。

 後に、こう思わずにはいられなかった……。

木原数多(何で出しゃばっちまったんだ……。俺の、馬鹿野郎……)





 悪行三昧に人生を楽しんできた犯罪一族、木原。

 “怪盗木原”として知られてきた彼らの次なる立場は、何と真逆の探偵業……な物語に一票宜しくお願い致します。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ