I say mya-o

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キッチンに向かうと早速三人分の朝食作りに取り掛かった。
今日は目玉焼きよりスクランブルエッグ食べたいな。卵を三つ手に取ると器用に三つ一気に割り、砂糖を適度に振り掛けた。三人分といっても余り大して手間は掛からない。元々料理は嫌いじゃないし、今更量が増えたって造作もない事だ。あとはパンを焼いて、ヨーグルトとサラダにベーコン、ついでにウインナーも焼こう。飲み物はスープ…で良いかな。
次々に浮かび上がるメニューに従うように手を動かしているとバダップがキッチンにやって来た。



「何か手伝うことはあるか」



『ないよ。……あ、じゃあさミストレ起こして来てよ。そしたらちゅーしてやる』



「…行ってくる」



ちょ、何かツッコミしろよ。やってるこっちが凄い恥ずかしいじゃんか、冗談なのに。コイツには冗談が通じないのかな。白目を向けながら寝室に向かうバダップ。いや、だから冗談だって、ねぇ。バダップが俺の視界から消えると俺は引き続き朝食の支度をした。あとでどう弁解するかを考えながら。







漸く出来上がった三人分の料理をテーブルに綺麗に並べてちらりと時計を見てみるとかなり時間が経っていた。ミストレ、起きるの遅くね?バダップも起こすのにどんだけ時間掛かってんだよ。しょうがない。俺も様子を見に行くか。するりと肩に掛かっているエプロンを脱いでテーブルから離れようとした。その時、



ガッチャンっ!



金属が床に叩き付けられる様な音がした。その後に続くように数多の本が落ちる音や、人が人を殴る時に聞く鈍い音、罵声が次から次へと聞こえてきた。しかも震源地が先程バダップがミストレをお越しに向かった寝室ときた。これは…、



『最悪な事態は免れてくれよ…?』



そう呟くと俺は足に力を込め、未だ鳴り止まない殴り合いを止めに寝室へと向かった。というか、人の寝室で何やってんだよ!!







(物事は簡単に行かないもので、)
(黒く掛かった雲は)
(直ぐに晴れると思っていた)









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