I say mya-o

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闇で動き、闇に消える――…



人を殺め、憎しみを受け取り続ける。たとえ仲間であろうと、俺は目標<ターゲット>を必ず仕留める。それが任務ならば――…
それが、


裏任務部隊・通称ヴァルキリア



俺達に自由は、無い。









暗い証明の下、そこで二人の男がもめあっていた。いや、正確には争っていた。
証明の光にキラキラと反射する白銀の髪の少年が、1つ拳が入ればまた1つ。自分より倍の身長を持つ、難いのいい男に攻撃を与えていた。鈍い音と唸り声だけがその部屋を埋め、それは気が遠くなるほど続き、永遠を語るように絶える事は無かった。



「ぐぁっ……!!」



どさりと何かが地面に落ちる音と共に先程まで攻撃を受けていた男は横たわったまま、ぴくりとも動かなくなってしまった。よく見れば、少年の周りには同じ様に横たわったままの軍人が重ねられていた。
すると突然、どこからともなくノイズが流れ、それは段々と声に代わり、少年に語りかけた。



《350人中335人を一撃で仕留めるか…流石あの末裔なだけはあるな。シグヲ・クオン》



『…結果は?』



《今回も合格だ。成績は徐々に上がっている。よって、引き続きヴァルキリア戦闘員として尽くしてくれたまえ》



『はいはい…』



気だるそうに返事をした少年―――シグヲは、少し乱れてしまった軍服を整えると早足に部屋から出ていってしまった。




◇◆◇




「シグヲ」



幾分か低い声で名前を呼ばれ、振り返って見ると、ぼさぼさで夜みたいに真っ黒な髪に、褐色肌。三白眼の瞳が俺を見ていた。



『…エスカバ』



コイツと俺は、幼い時からずっと一緒にいた。遊ぶ時も悪さする時も、ずっと一緒だった。所謂幼なじみ、というやつ。



「どうだったんだ?」



ヴァルキリア部隊は学園の中でも公には公表されておらず、この事を知っているのはエスカバだけだった。ちなみに、俺が裏任務で大怪我したときになくなく内緒で話した。



『受かったよ…これで一応、今直ぐには死ななくて済む』



「…どっちにしたって、同じだろ」



『…俺が戦場で死ぬなんてあり得ないし』




エスカバはいつもヴァルキリアで働く俺を気にかけてくれる。それはとても有り難いのだが、俺だってそんなに弱くないっつーの…。




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