I say mya-o
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『で、きたぁ』
とろりとしたオムライスの出来栄えに思わず歓喜の声が漏れる。ふわふわとまるでお菓子みたいに可愛い黄色が俺を魅了する。俺はそれを丁寧に皿に移し右手でスプーンを持つと、キッチンに凭れながら静かに食べ始めた。知らない人の前で食べるとか有り得ないし。温かい内に食べてしまおうとスプーンをオムライスに刺した。その時、
「あー、美味そう」
ひょっこりとさっきまで人のベッドを占領していた女が顔をだした。
「俺の分は?」
『無いよ。自分で作れば?』
女が見ているにもお構い無しで俺は卵とチキンライスを丁度良く掬ったスプーンを一口口に運ぶ。うん、我ながらなかなか上手くいった。美味しい。
「ホント、さっきから何言ってるの。ここは俺に譲るとこだよ」
お前こそ何言ってんだよ。本当にこの女可愛くない。
しかしどうにも引いてくれない女の視線から、だんだんとオムライスに危機が近づいているのは確かだった。マズイ、俺の貴重な食料がっ……!
『じゃ、あさ…!風呂の支度してきて。そしたら、やる』
「へぇ…この俺をコキ使うなんてイイ度胸してるね」
『…言っとくケド今の俺の部屋にあるまともな食料、これしかないから』
「ちっ…」
うわ舌打ち。女だろお前。せめて聞こえないように舌打ちしろよ。まったく、可愛げない。
それでもオムライスが余程食べたかったのか、女は先程の俺同様に不機嫌丸出しの顔で風呂場へ向かった。俺もさっきあんな酷い顔してたのかな…うわ、恥ずかしい。
どうやらご丁寧に浴槽も掃除してくれているらしい。シャワーの音が聞こえる。取り敢えず俺はオムライスを半分頂く事にした。