エピソードX


□僕たちの道標
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降り頻る雨と。浅く繰り返す呼吸音。

窓の外にそっと目を向けて。


重ねる。思い出す。

今よりずっと小さかった彼らを。


「大丈夫かなぁ」

小さく息を吐いて見つめる。

「図体は大きいのに免疫力がまるで駄目ね」
「、るせぇな」

次女に毒まで投げかければ寝床に伏せるばかりだった長男もひと睨み。その一方でいつも彼ら三兄弟を纏め上げる主人の男は用意した椅子に腰を下ろしたまま陰りを背負って。

「お前まで、暗くなるなよ」

熱を帯びた目で呟けば喉を痒みが襲う。

「──げほッげほッ!」

はっと我に返って顔を上げる。

「ネロ!」


まとわりついて離れない雨音に苦みを覚えた。


そう。これは。

三匹のポケモンと一人のトレーナーの。


冷たい雨の日の記憶。……
 
 
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