短編集
□青い春
5ページ/5ページ
きょーちゃん
それは、私の幼馴染み
5歳の頃まで毎日一緒だったけど、きょーちゃんが引っ越し離れ離れになった
『きょーちゃん…恭弥って名前なんだ…』
「そうだよ」
『自分の事“きょー”って言ってたから…気付かなかった…』
「…あの頃の僕は忘れて」
『でも、変わらないね。かっこかわいいって感じだ…』
「夜宵の内気なのもね」
『きょーちゃんだから私話せてたんだ……多分、脳は覚えてたんだよ凄い!!』
「…まるで夜宵自身は僕を忘れてたみたいだね」
『……きょーちゃん、いつの間に帰ってきたの?』
「…4年くらい前」
そう言いながら、カウンターを乗り越えて私の隣へ来る
カウンターは乗り越える物じゃないよー…
「引っ越してから、弱い君を守るために僕は強くなった。そして、強くなるまで並盛には帰らないって決めてた」
『…うん』
「…会いに来るの、遅くなってごめん」
そう言うきょーちゃん
その姿は、私よりも弱く見えた
『…きょーちゃん強くなったんだよね』
「…夜宵の為に、ね」
『うん、それだけでもう十分だよ』
横から抱きつく
きょーちゃんは一瞬肩を揺らしたけど、こっちを向いて抱きつき返してくれた
…これも、青春なのかな
「ねぇ夜宵、今日から応接室で本読まない?」
『え、何で応接室…』
「僕の部屋だから」
『……』
(きょーちゃん、強くなりすぎ?)
(弱い夜宵を守る為だよ)