短編集

□青い春
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きょーちゃん


それは、私の幼馴染み


5歳の頃まで毎日一緒だったけど、きょーちゃんが引っ越し離れ離れになった





『きょーちゃん…恭弥って名前なんだ…』


「そうだよ」


『自分の事“きょー”って言ってたから…気付かなかった…』


「…あの頃の僕は忘れて」


『でも、変わらないね。かっこかわいいって感じだ…』


「夜宵の内気なのもね」


『きょーちゃんだから私話せてたんだ……多分、脳は覚えてたんだよ凄い!!』


「…まるで夜宵自身は僕を忘れてたみたいだね」


『……きょーちゃん、いつの間に帰ってきたの?』


「…4年くらい前」




そう言いながら、カウンターを乗り越えて私の隣へ来る


カウンターは乗り越える物じゃないよー…





「引っ越してから、弱い君を守るために僕は強くなった。そして、強くなるまで並盛には帰らないって決めてた」


『…うん』


「…会いに来るの、遅くなってごめん」




そう言うきょーちゃん


その姿は、私よりも弱く見えた





『…きょーちゃん強くなったんだよね』


「…夜宵の為に、ね」


『うん、それだけでもう十分だよ』



横から抱きつく


きょーちゃんは一瞬肩を揺らしたけど、こっちを向いて抱きつき返してくれた





…これも、青春なのかな





「ねぇ夜宵、今日から応接室で本読まない?」


『え、何で応接室…』


「僕の部屋だから」


『……』











(きょーちゃん、強くなりすぎ?)
(弱い夜宵を守る為だよ)


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