短編集

□僕の妹
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「…じゃあ夜宵、行ってくるね」

『うん……』

「早く帰ってくるから。そんな顔しないでよ」

『…うん、行ってらっしゃい』

「行ってきます」



そう言葉を交わして夜宵の額にキスを落とす

それは毎日恒例の、お見送り


夜宵は元々身体が弱い

外に出ると、すぐに日射病になってしまう

だから家からは出れない


僕的には、一緒にデートとかしたいけど

夜宵の身体が一番。健康が一番だ





でも、家を出る時の夜宵のあの顔は、辛い

夜に散歩くらいなら行けるのだが、

昼間となるとまた条件が変わるし…









いつもの如く、少し落ち込み気味で仕事をしに、並盛中の応接室へ

書類に目を通し、サインをする



サインをしている間も、頭には夜宵のあの顔

…今すぐ帰りたい

帰って、夜宵を抱き締めたい




そう思っていたら、自称副委員長の草壁がこっちを見てるのに気付いた



「…何」

「いえ…また夜宵さんのことを考えていたのかと…」

「何言ってるの」

「すみません、違いましたか?」

「僕は常日頃、夜宵の事を想ってるよ。群れを咬み殺してる時もね」




得意気に言えば、「流石です」って言われた

言われなくてもわかってるけど





仕事を済ませて、音速を越す勢いで家へ向かう

「ただいま」と声をかければ、

とてつもなく可愛い笑顔の夜宵がお出迎え



『おかえり恭弥!!』

「…何かあった?」

『パパとママから手紙が来たの!!恭弥の分もあるよっ』



浮かれた声ではしゃぐ夜宵

…例え親でも、僕の夜宵をこんなに喜ばせるなんて

ジェラシー、かな



…でもまあ

「父さんと母さんからの手紙か…何年振りだろうね」




楽しそうな夜宵が見れるならいいかな








僕の妹

=僕の恋人












(僕の妹は、未だに世界一可愛いよって返事書こうかな)
(じゃあ私は、恭弥は未だに世界一かっこいい…だね!!)


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