『晴さーん…入りますよー…?』
物音のしない部屋。一応ノックをして扉を開く。
部屋に明かりはついておらず、肩に乗せてたレオンにそっと触れた。
なんだか、廊下より気温が低く感じられる。
明かりは窓から注がれる月明かりだけ………ん?
『窓、開いてる…?』
どうりで廊下より寒いはずだ。
閉めようと一歩中に入って気付く。
なんで、何も気配がしないんだ?
おかしい。晴さんはどこへ行ったんだ?
『………外っ!?』
急いで窓へ駆け寄り、下を伺う。
そこには、微かだけど偽ツナさんの時と同じ炎が灯っていた。
『晴……さん…?』
一番疑いたくない親友を、俺は疑ってしまった。
『…まさか、晴さんがそんなするわけないもんな。だったら俺に正体明かしてねぇもん。』
ぶつぶつと独り言を言いながら、大広間までの道を歩く。
結局、晴さんの部屋を探したけど何の手がかりもなく。
晴さんもツナさんと同じく誘拐された、と自分のなかで結論付けた。
『ただ、リボーン達が信じてくれるか…なんだけど。』
そううだうだと考えている間に、大広間についてしまった。
大広間には、晴さんを除くすべての使用人、医者のシャマル、そして守護者の皆様が集まっていた。
「空、遅かったな。」
『うん…。』
「おや、執事が居ませんね。」
「晴輝なら空に任せたはずだぞ。」
『そのことなんですけど…。』
どうにも言いにくい。
全てのメイドさんとか、シャマルとか、みんなが俺に注目してる。
でも、早く言わないとリボーンの逆鱗に触れちゃうし…。
腹をくくった俺は、深呼吸をして口を開く。
『…晴さんの部屋を見に行ったところ、人の気配はありませんでした。』
「…それは、逃げたってことか?」
「一緒にさらわれた、ってこともありえるのな。」
『どうなのかはまだわかりません。個人的には後者だと考えてます…。』
そしてあの不思議な炎を見たことを、伝えるか迷った。
でも、ここには炎と関係のない使用人さんもいる。
今伝えるのはよそう。
使用人の方々が居なくなってから…。
それから話すんだ…。