短編集

□隣に
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『う゛ぁー…。』


頭痛。


『あ゛ー…。』


目眩。


『……う゛ぇ。』


もれなく吐き気。


三カ月に一回のペースで訪れるそれは、いつもより酷かった。

いつもなら数時間寝れば回復するんだけど、今回は寝れないほど酷い。

原因はきっと疲労。ここの仕事はハードすぎてか弱い私には合っていないんだ。

昔ボスに一回講義してみたら睨まれた。そんなの知るか、って感じ。

でもこういう日に任務を入れないあたり、ボスは優しい。


三大不快感を抱え、ベッドからずるずると降りた私は壁を伝って歩く。

目的地は、私の部屋のふたつ隣。




『あ゛ー…居た。』


ほぼ死にかけの状態で、ノックもせずに扉を開く。

中にはカエルを被った霧の守護者。


「…なんですかー。またですかー。」

『またとは…失敬な。ちょっと、肩。』

「面倒ですー。カエル外すと刺されるんですよー?」

『いいから、ほら。』


ほぼ強制的に、私が座っていたソファの隣に来させる。


『肩。膝でも可。あと幻覚。』


単語で要望を述べ、とりあえず肩に寄り掛かる。


「…刺されたくないのでこっちでお願いしますー。」


幻覚もかけやすいですしー、と続けて言いながら優しく私を横に倒す。

と同時に、私は颯爽とした草原に寝転がっていた。


『……フラーン。』

「なんですー。」


天の声みたいに、近くて遠いところから聞こえる声。


『…隣にいてよ。』


そう返せば、瞬時に彼が現れる。


「…どんだけ甘えたなんですかー?」

『いいじゃん。』


私は少し笑えるまでに気分がよくなる。


「…笑えるならもういいだろ…。」

『解いたら吐くかも。』

「うわ、笑えない脅しじゃないですかー。」


それでも私が寝るまで、幻覚も隣に居ることも続けてくれる。

居るだけでいいことを気付いてくれてる。




とても優しい、私の幼馴染み。











君が 隣に 居るだけで








(まあ、ミーは幼馴染みで止まろうなんて微塵も思ってないですけどねー。)




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