『う゛ぁー…。』
頭痛。
『あ゛ー…。』
目眩。
『……う゛ぇ。』
もれなく吐き気。
三カ月に一回のペースで訪れるそれは、いつもより酷かった。
いつもなら数時間寝れば回復するんだけど、今回は寝れないほど酷い。
原因はきっと疲労。ここの仕事はハードすぎてか弱い私には合っていないんだ。
昔ボスに一回講義してみたら睨まれた。そんなの知るか、って感じ。
でもこういう日に任務を入れないあたり、ボスは優しい。
三大不快感を抱え、ベッドからずるずると降りた私は壁を伝って歩く。
目的地は、私の部屋のふたつ隣。
『あ゛ー…居た。』
ほぼ死にかけの状態で、ノックもせずに扉を開く。
中にはカエルを被った霧の守護者。
「…なんですかー。またですかー。」
『またとは…失敬な。ちょっと、肩。』
「面倒ですー。カエル外すと刺されるんですよー?」
『いいから、ほら。』
ほぼ強制的に、私が座っていたソファの隣に来させる。
『肩。膝でも可。あと幻覚。』
単語で要望を述べ、とりあえず肩に寄り掛かる。
「…刺されたくないのでこっちでお願いしますー。」
幻覚もかけやすいですしー、と続けて言いながら優しく私を横に倒す。
と同時に、私は颯爽とした草原に寝転がっていた。
『……フラーン。』
「なんですー。」
天の声みたいに、近くて遠いところから聞こえる声。
『…隣にいてよ。』
そう返せば、瞬時に彼が現れる。
「…どんだけ甘えたなんですかー?」
『いいじゃん。』
私は少し笑えるまでに気分がよくなる。
「…笑えるならもういいだろ…。」
『解いたら吐くかも。』
「うわ、笑えない脅しじゃないですかー。」
それでも私が寝るまで、幻覚も隣に居ることも続けてくれる。
居るだけでいいことを気付いてくれてる。
とても優しい、私の幼馴染み。
君が 隣に 居るだけで
(まあ、ミーは幼馴染みで止まろうなんて微塵も思ってないですけどねー。)