臨也お題

□Yesしか聞こえない
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「ねぇ。」
「…なに?」
「いい加減俺の顔見ながら話ししてくれない?」
「なんで?」
「なんでって…。」

理央は絶賛お怒り中。
まぁ原因はわかってる。
昨日は2人の記念日だったにも関わらず、俺はどうしても外せない用事があったのだ。

「ほんとごめんって。」
「全然誠意が伝わらないけど?」
「あ、そうだ!理央の好きなケーキあるから2人で食べない?」
「臨也が1人で食べればいいじゃん。」

うん、賢い。
ケーキ如きじゃ靡かなくなった。
付き合い始めの頃はよくケーキでご機嫌を直していたのに…。
俺は今まで誰にも見せたことがない位困った顔をしてると思う。
そんな俺を尻目に理央はずっと、むってしてクッションをぎゅうってしてる。
怒ってる理央も可愛いと思うのは溺愛してる証拠なのだろう。
そんなことを口に出したら余計に怒るだろうなと思い、俺は必死に頭を回転させた。

「はぁ、私もう帰る。」
「えっ!?」

考えをまとめていた時、痺れを切らしたのか理央はスッと立ち上がり、荷物を片手に玄関へ向かいだした。

「ちょっと待って。」
「なに?離してよ。」
「やだ、行かないで。」

今離したらヤバいと思った俺はぎゅっと抱きしめる腕に力を込める。

「お願いだから話を聞いて?」
「…。」

理央が何も言わないのを都合よく解釈した俺は観念して話をきりだす。

「ほんとはもう少し日が経ってから言おうとおもってたんだけど…。」

俺はズボンのポケットから小さな箱を取りだして理央に差し出す。

「なにこれ?」
「開けてみてごらん。」

開けて中身を見た理央は目を見開いて硬直した。

「臨也…、これ…。」
「もっとカッコよく切り出したかったんだけど、誤解したままバイバイになったらやだし。」
「もしかしてこれが原因で昨日…。」
「理央を驚かせようと思って黙ってたんだよ。でもまさかこんなことになるとはね。」
「ごめん!私…。ぅぅ…。」
「泣くほど嬉しいの?」
「うん…っ!!」
「じゃあ俺と結婚してくれる?まぁ…」





“Yesしか聞こえない”
(けどね!)
(…急にいつもの臨也になった)
(理央もいつも通りになったし)
(切り替え早いなぁ)
(じゃぁ仲直りしたことだし寝室行く?)
(調子に乗らないの!)





END


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