黒子のバスケ

□狼さんと猫さん
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―10月31日。
――ハロウィン当日、昼休み。

「理央ー。」
「お菓子でしょ?はい!」

満面の笑みを浮かべながら理央は両手いっぱいのお菓子を差し出してきた。

「…なんだこの量。」
「大輝のことだから絶対菓子よこせって言うと思って用意しといたの。」
「せめてなんか袋とかなかったのかよ…。」
「あるよ?」
「袋あんならいれろよ!」

なによー!って言いながら理央はリュックの中からコンビニの小さい袋を取り出して菓子をいれる。
袋に入れた菓子をオレにはい!って差し出したとき…。

「あ、お菓子ー。」

いきなり現れた紫原がひょいっと取る。
ほんとこいつは菓子が好きだな。

「むっくん、それは大輝のなんだけど…。」
「えー?じゃーオレのは無いのー?」
「無いの。」
「むー…、無いならイタズラするー。」
「それむっくんにあげるね!」
「おい。」
「なにー?峰ちん。」

ぱくぱく!

もー食ってるし!?

「いや、いい。」

じゃーねーって菓子を食いながら紫原は去って行った。

「大輝のなくなっちゃった。」
「みりゃわかる。」
「しょうがないから帰りうちんち寄ってきなよ!家でお菓子作ってあげる!今日部活ないんでしょ?」
「ん、そーするわ。」
「じゃーまた放課後!」
「おー。」

帰りまでサボってっかなー。
ねみーし。
オレは午後の授業を全部サボり、屋上で寝て過ごした。
――――…。

「ん…。」
「あ、やっと起きた?」
「理央か…。」
「大輝ってばまた午後サボったでしょ?」
「いーだろ、別に。」
「よくないよ!はぁ…。まぁ大輝も起きたことだし、帰ろ?」
「おう、荷物取ってくっから下駄箱で待ってろよ。」
「りょーかーい!」

オレは未だに眠い頭を起こしながら教室へかばんを取りに行き、下駄箱へ向かった。
帰り道、理央は色んな話をしてたけど正直まだ頭が冴えていない。
しかもボーっと歩いていたら、いつのまにか理央んちに着いた。

「着替えてくるからリビングで待ってて?」
「家のひとは?」
「今日は帰りが遅いみたいなんだー。」
「へー。」

とりあえずオレはリビングに足を運び、ソファーでくつろいだ。
しばらくするとぱたぱたと足音が聞こえてきたもんだから、音のする方へ顔を向ける。

「おまたせ!」
「おまっ!!??」
「じゃーん!」

なんと理央はメイド服を来て猫耳を着けてた。
一気に頭が冴えたわ!!

「なんつー格好してんだよ!」
「え?変?」
「変じゃねーけど…。」
「けど?」
「オレになにされても文句は言えねー状態だかんな?」
「なっ!!??」

なんかもー菓子なんてどーでもいーや。
オレは驚く理央を姫抱っこしてそのまま理央の部屋へ向かった。
途中で理央がお菓子作るんだから降ろしてって抗議してきたけど、そんなん無視。
理央の計画では、オレに狼のコスプレをさせてハロウィンパーティー的なことをしようとしたらしい。
んなもん知るか!
今は菓子より理央だ!
言ったろ?





“文句は言えねーって”
(狼になってほしーんだろ?)
(そうじゃないー!!)
(オレの前でそんな格好したお前がワリィ)
(まさか大輝にそんな趣味があるなんて…)
(男の夢だからな)





END


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