黒子のバスケ

□敵わない
1ページ/1ページ

「大輝。」
「あぁ?」
「別れよ。」
「…はぁっ!?なんでだよ!!」

オレなんかしちまったか?
……ダメだ、考えても思い当たることがねぇ。
今朝は普通だったよな…。

「オレなんかしちまったか?」
「んー…。」
「なんだよ!言わなきゃわかんねーだろ!?」

理央はなんでかオレと目を合わせねーし…。
オレは不安ばかりがどんどん募っていく。
理央と別れる?
冗談じゃねぇっ!!
理央を手に入れるまでどんだけ大変だったか…。
キセキの世代と呼ばれるオレ達みんなで争奪選を繰り広げるほど理央は人気者だ。
見事勝ち取ったオレはあまりの嬉しさに夜眠れなかった。
中学を卒業して、高校に入っても理央を狙うやつは絶えねーし…。

「オレは認めねーからな!?」
「大輝?ちょっと話聞いて?」
「いやだっ!!!!」
「あのさ…、」

オレは理央の言葉を遮って大声で断言した。

「オレは理央と別れるつもりはねぇっ!!誰が理央を手放すかっ!!」

がばっ!!

「ちょっ!!??」

ここが廊下のど真ん中だろーがそんなのは関係ねぇ。
理央は慌ててオレの背中をばしばしと叩いて恥ずかしさを訴えてくる。
でもぜってー離さねーかんな!

「オレに不満があんなら言え、頑張るからよ…、だからっ…、別れるなんてゆーな…。」
「大輝…。」

ははっ…!
オレ…、情けねーな…。
自分でも声が震えてんのわるなんてよ…。
理央もそれに気付いたのか低抗をやめて、オレの背中をポンポン叩いてから顔をあげてオレを見つめてきた。

「ごめん…、別れるって嘘なの…。」
「……今…、なんつった…?」
「う…嘘なの…。」

はぁぁぁぁっ!!??
理央の言葉にオレは硬直した。
人間は本気でびっくりすると本当に固まるみたいだ。
そーじゃねぇっ!!

「なんで嘘つきやがった!?」
「いっ…今吉先輩が言ってみろって…。」

あんの腹黒ヤロー…っ!!!!!!
…ってことはどっかで終始見てやがったなっ!?

ばっ!!

「あ、見つかってもぉた…!」

勢いよく後ろを振り返ると焦った腹黒ヤローが慌てて身を壁の物陰に隠して逃げたくせぇ。
あとで覚えてろよ…!!

「大輝ごめんね?」
「お前もお前だ!家に帰ったら覚えてろよ!?」
「土下座するので勘弁して下さい!」
「却下っ!!」
「でも…、嬉しかったよ?」
「うるせっ!」
「大輝顔真っ赤!」
「うるせーってんだよっ!!」

恥ずかしくてオレ死にそう…。
なんなんだよこの仕打ち…。
でも…、嘘で良かったぜ…。
理央の気持ちがちゃんとオレに向いてたんだからな。
理央のやつはオレの気も知らずに嬉しそーな顔しやがって…。
結局この笑顔によえーんだよなぁオレは。
だから、





“少しだけ許してやるよ”
(やっぱ青峰は理央ちゃんに弱いんやなぁ…)
(オイ)
(…なんや?っつかもぉ追いついたんかいな!?)
(あんた人の女巻き込んでなにしてくれてんだ…?)
(そないに怒らんでも…)
(怒るにきまってんだろーがぁっ!!)
(理央ちゃーん!!助けてくれへんかーっ!?)
(人の女を軽々しく呼ぶんじゃねぇっ!!)





END


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ