黒子のバスケ

□笑顔
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「あ、笠松センパイ!お疲れ様っス!」
「…お前なんでこんなとこにいんだ?」
「…え?練習っスよ?」

センパイはすごく不思議そうな顔をしてる。
オレなんかやっちまったんスかね…?
オレはビクビクしながら聞いてみた。

「なんでそんな不思議そうなんスか?」
「んー…。」
「すっげ気になるっス!!」
「さっき理央を見かけたんだ、多分友達?みたな奴らとどっかに向かってるみたいだからてっきり黄瀬と一緒なのかと…。」

オレはすぐにピンときた。
最近理央っちの様子がおかしくて、直接聞いても“なんでもない”の一点張りだったからオレの勘違いだったんだと思って油断してたっス…!

「しまった…っ!!それ!何時頃の話しっスか!?」
「えっ?5分位前だった…、って黄瀬!?どこに行くんだ!?」
「理央が危ない!!」

センパイの呼びとめる声を無視してオレは校内を駆け回る。
理央っ!!
理央っ!!
どこだ!?
頼むっ!!
無事でいてくれ!!

―――ぎゃぁ!ぎゃぁ!

っ!?
いたっ!!
校舎裏だ!!

「あんたまじいい加減にしてくんないかな?」
「ほーんと!!ブスのくせに良い気になんなよ!!」
「目障りなんだよ!!」
「これ以上黄瀬君に付き纏わないで!!」

がっ!!

「いっ…!!」
「歩けない様にしてやるよ!」
「こんなことしてるなんて…相当暇なんだね。」
「やっと口開いたと思ったらなんなの?まじうぜぇ。」
「私なんかをボコってる暇があんなら振り向いて貰える努力とかしたらどうなの?」
「こいつほんとむかつく!もう一発かましてやる!!」
「あっ…。」

バカな女は理央の胸倉を掴んで殴りかかろうとした。
理央はオレの存在に気付いたみたい。
バカ女の右腕をオレは素早く掴む。

「なに、してんスか?」
「あっ!?黄瀬君!?」
「わ…私たちは…。」
「なにやってんだってきーてんだよ。」

顔が青ざめいく女たちを無視してオレは理央に駆け寄る。

「理央、立てる?」
「涼太…、なんでここに?練習は?」
「ごめん、遅くなって…。」

理央の顔を見たら胸が痛くなった。
少なからずこうなってしまったのは自分の責任だと思ってるから。
オレは理央を抱きしめながらごめんと何度も呟いた。
その度に理央は大丈夫だからってオレの背中をぽんぽん叩く。

「黄瀬君…?その…。」
「黙れよ。」

そっと理央から離れて後ろを振り向くと、今にも泣き出しそうな女ども。

「また理央に手を出してみろ…、女だろうが容赦しねぇっスよ。」

泣きながら去っていく姿を見てオレは理央に振り向きまた抱きしめた。

「今度からはちゃんと話して欲しいっス…。」
「ごめん…。」
「次はちゃんと守るから!」
「うん…、ありがとう。」

ありがとうとほほ笑む理央っちの笑顔はとても可愛くて、これからもずっと守りたいって思ったんス。





“この笑顔にオレは惚れた”
(媚びた顔なんてもう)
(うんざりだ)
(理央っちの笑顔が)
(1番輝いてる)





END


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