楽園の夢
□手をつないで
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ジョンが目を覚ました時、身体の左側がやけに温かかった。ソファで経済誌を読みながらうたた寝をした彼に、銀が寄り添って寝ていたのだ。小柄な身体を預け、ジョンの手を握って―――。すぅすぅと穏やかな寝息、やわらかな髪の香りが鼻をくすぐる。
繋がれた手は、指を絡めた所謂恋人繋ぎ。人前では出来ないそれを、ジョンが寝ている間にこっそりと仕掛けた銀の様子を想像すると、愛しさが込み上げてくる。やわらかい髪に頬を擦り寄せ、握る手にきゅ、と力を込めた。
(‥‥このままじゃ風邪引いちまうかな)
ジョンは、立ち上がって毛布を持って来ようかと思った。もしくは、銀の身体を抱き上げてベッドへ運んでやりたい。しかし―――。
(手‥‥‥ほどきづれぇな‥‥)
絡みあう指、肩や腕にかかる心地良い重みと体温。手放すのが惜しく、ジョンはなかなか立ち上がることが出来なかった。
end.