楽園の夢

□お休みの日
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「ジョン、起きろ!!」
「ぐぇ‥‥っ」


 勢いよくベッドに飛び乗り、銀はジョンの肩を揺すった。仕事で疲れているのはわかる、夕べだって遅かった。けれど、10時まで寝れば充分だろう。


「ほら、起きろよジョン!もうお日様も高いぞ!」
「う‥‥、銀、もう少し‥‥‥」
「眠いなら後で昼寝でもしろよ。明日だって休みなんだしさ」


 シーツを洗濯したいらしい銀は、ジョンが潜り込むブランケットも剥がしにかかる。ちょうどいい、こいつも干してしまえ、とでも思っているのだろう。
 ジョンが寝ぼけ眼で、ブランケットから顔を出す。そしてベッドに乗り上げている銀を、ちょいちょい、と指先で招いた。


「?‥‥‥わあッ!!」


 寝起きのくせにどこにそんな力があったものかジョンは、素直に身を乗り出した銀をあっさりと引き倒してしまう。ドサッと派手な音を立て、銀が状況を把握した時には彼の身体は既に、ジョンの腕に組み敷かれていた。
 目の前では、さっきまで情けなく寝ぼすけっぷりを披露していた人物と同一とは思えないほどの色男が、不敵な笑みを浮かべて銀を見つめている。


「明日も休みなんだから、いいだろ?今日くらい」
「‥‥‥ぁ‥‥」


 ジョンの声は低くて男らしくて、それでいて甘い色気を漂わせている。
 ――‥銀の、大好きな声だ。
 異国の血が混じった彫りの深い顔立ち、端正な眼差しに見つめられ、不覚にも銀はぞくぞくと背中を痺れさせてしまう。


「‥‥!‥‥‥だめだめっ、明るいうちからこんな‥‥!」


 銀は一生懸命ジョンを押しのけようとするのだが、がっちり押さえ込まれて身動きが取れない。その上、髪や頬、まぶた、耳、首筋‥‥‥と、キスを落とされたら力は抜ける一方だった。




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