楽園の夢
□トモダチ
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ジョンは独り、部屋で煙草を吸っている。銀と同居を始めてから自然減っていた喫煙量だったが、苛々を抑えられず、灰皿には吸い殻が積もっていた。
原因は、これも銀だ。彼が、大学の友人に誘われコンパに行ってしまったから。銀本人はただの飲み会、未成年だから呑まなければ平気と思っていたようだ。しかし、ジョンはそんな認識ではいない。大学生のコンパなど、要するに合コンだろうが、と思っている。
(くそっ‥‥。悪い虫がついたらどうしてくれる)
最大の悪い虫は自分だ、というのはさておき、可愛い銀が遊び慣れた女子大生共に目をつけられたら、と気が気でない。かといって、行くなとも言えなかった。銀の恋人で、保護者代わりでもあるけれど、鎖で縛りつけておくわけにもいかない。銀には銀の自由がある。
―――頭ではわかっていても、心が納得出来ない。あいつは俺のだ、どこにもやらないと沸き上がる独占欲は、どうにもならなかった。
そんな風に苛々と煙草を吸って、何時間経ったろうか。テーブルの上に放って置いた携帯の着信ランプが光り、ジョンは着信音が鳴り出す前にコールボタンを押していた。
「銀か!?」
だが、聞こえてきたのは。
『ぶはッ!あっはははは、すげー、ソッコー!』
いきなり噴き出した、若い男の笑い声だった。
トモダチ
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