楽園の夢

□トモダチ
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「短縮は、と‥‥この一番上の、ジョンて人でいーんだよな」


 確認というほどでもなく気ままに呟き、金髪の青年はコールボタンを押した。すると、コール音がするかしないかのタイミングで耳に響いた、切羽詰まった声。


『銀か!?』


 もしもし、と言おうとしていた青年は、盛大に噴き出していた。


「ぶはッ!あっはははは、すげー、ソッコー!」
『!?なんだお前!!』
「あっはははは、ワリ、俺銀のガッコのダチで、スミスっての。聞いたことない?」


 軽いノリで自己紹介した青年―――スミスは、銀が酔い潰れて動けないことをジョンに伝えた。


「そんで悪いんだけど迎えに‥‥」
『すぐ行く!』


 何処だ!?と凄い勢いで訊かれ、スミスは笑いを堪えながら駅名を口にした。電話を終え、携帯をぱちん、と閉じたスミスは、くくく、と抑えきれない笑い声を漏らしている。


「‥‥‥スミス‥‥?」


 どうしたの?と弱々しく尋ねる銀の頭を、彼は乱暴にならない程度にくしゃくしゃ撫でた。


「んー、なんでもねーよ。いーからお前は迎え待ってな」


 スミスが笑いながら言うと銀は頷いて、ふぅ、と目を閉じた。その表情は、童顔の銀をいっそう幼く見せる。


(こんなガキくせーヤツなのにねー)


 なかなかどうして、愛されてるじゃないかとスミスは、その相手を見るのが俄然楽しみになってきた。
 30分ほどして、見るからに高そうな車が近くに停まった。目印は、金髪のサイドポニーテールな自分だと言っておいたスミスは、車を降りてまっすぐ向かってくる男を見て、軽く驚いた。髪や服装はラフだが、いかにもエリートな、それでいて野生味をも感じさせる、男から見てもいい男だ。驚いて、また感心もしていた。
 こんな男を夢中にさせる銀にも、銀の魅力を見出だしたこの男にも。




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