砂時計

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そして部屋に着いてしばらく・・・




「ん・・・総司、ごめん。ちょっと寝る・・・」


「いいよ?」



ふと沖田が何かに気づき鈴の額に手を当てるとそこは平熱にしては熱く、沖田は顔をしかめた。




「・・・鈴」


「・・このくらい大丈夫だって・・・」


「だからさっきキスしたら風邪引くって言ってたわけか」


「風邪引いても総司が悪い・・・」




それからしばらくして鈴がうとうとしながら沖田に寄りかかり沖田がそれを愛しげに見ていたそのとき、




「総司。入るぞ」




襖は開けられ沖田は顔だけをそちらに向けて返事をよこした。




「・・・土方さんか。何か用ですか?
僕は今鈴の寝顔を見るのに夢中なんですけど」


「・・・そんなことはどうでもいいから今すぐ集まれ。
それと鈴も起こして連れて来い」


「・・・鈴も?
どうせあの子のことでしょ」


「そうだ」




沖田はため息をつき鈴を優しく揺らした。




「鈴、鈴。
起きないとこわぁい土方さんにどやされるよ」


「だれがこわぁいだ!!」


「・・・・・・・ふわぁ・・・・はいはい」





鈴は沖田から体を起こし軽く伸びをした。


そして目をぱちくりさせる。




「あれ?何で土方さんがここにいんの」


「はぁ―・・・。総司、ちゃんと連れてこいよ」


「分かりました」






‐‐‐‐‐





「んん・・・・あ、本当だ。
みんな集まってる」


「鈴!!寝てたんだろ。
顔がまだ寝ぼけてるぜ?」


「んなわけないでしょ!
あんまなめてっとその髪引っこ抜くよ平助!!」




鈴はずかずかと部屋に入り込み藤堂の頬をつねる。


しかし沖田がその後に部屋に入ってきて鈴の首根を掴んだ。




「いや、寝てたよね鈴」


「ちょっと総司!!・・・言っちゃダメだって」


「ほらみろ!!」




沖田は鈴をずるずると引きずってどかりと座りその膝の上に鈴を乗せた。




「・・・さて、
ゴメンね土方さん。話進めて?」


「・・・お前は何度言っても聞かないようだな。
お前らの部屋以外でベタつくなと何度言ったら分かる・・・!」


「・・・総司。
真面目な話なんだから。・・・降りるよ?」




鈴はぺちりと沖田の額を叩きするりと彼の腕から逃げ出して隣に座った。





「はっはっはっは!!
相変わらずのようだな!総司、鈴」





そんな二人の様子を見て近藤は豪快に笑った。



「お前らのいちゃつきっぷりは直らないみたいだな」


「そう言ってやるな!総司も周りにこんなにいい男がいるから気が気じゃねぇんだろうさ!!
どうだ鈴?総司なんてやめて俺にしろよ」




原田は苦笑いを浮かべ、永倉は自分を指差して不敵に笑う。


そこに山南が穏やかな笑みを浮べたままにこう言った。




「そろそろ話を戻しましょう。
土方くんがご立腹ですよ?」




全員は土方に目をむけその殺気だったオーラに口をすぼめた。




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