砂時計

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そして元治元年七月、新撰組は出陣していった。


これが後に禁門の変と呼ばれる今日の都中を巻き込む激しい戦いの始まりだった。






「あーあ・・・俺も行きたかったぁー。
はぁ。屯所で待機とか退屈すぎ」


「文句言わない。
平助はさっさ怪我治せばいいの」





ぶつくさ言っている藤堂を鈴は呆れ顔でたしなめる。


そんな様子を見て沖田はふっと笑い、山南はどこか暗い顔で言う。




「そうですよ。君は傷さえ治ればすぐに表舞台に出れますよ。
それに比べて・・・私は・・・」


「あ・・・」


「ま、おとなしく寝てろって事だよ」


「いって!!
何するんだよ総司ぃぃ!!」




沖田は藤堂の横腹を小突くと屯所の中に入っていき、それを藤堂が怒りながら追いかける。




「山南さん。お茶が飲みたかったり何か用があったらいつでも呼んでくださいね」


「ああ、ありがとうございます」




鈴は山南に軽く会釈をすると沖田たちを追いかける。





「ちょっと二人とも!!ちゃんと安静にしててよ?
私があんたたちを任せられてるんだから」


「わかってるよ」




沖田は了解するが藤堂は不満そうにそっぽを向く。


そんな藤堂を見てため息をつきながら鈴は藤堂の額をぺちりと叩いた。




「そーんな顔しないの。
・・・あとでおいしい昼食作ってあげるから」


「まじで!?鈴が一人で作った飯なんて久しぶり!!」


「まじでまじで。
だからおとなしくしてて」


「わかった!!」




藤堂は飛び上がりながら自室に戻っていき、それをおもしろそうに沖田と鈴は見送った。




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