砂時計

□05
1ページ/3ページ





元治元年七月...





「会津藩より正式な要請が下った。
長州制圧のため出陣せよとの事だった」





近藤の言葉に隊士たちはどよめく。


それも無理はない。


今まで新撰組はよい扱いを受けていなかったのだから。





「会津藩もわれわれの働きをお認め下さったのだ」




近藤は目頭を押さえて喜ぶ。


藤堂も歓声を上げた。




「よっしゃぁぁぁ!
新撰組の晴れ舞台だぁ!!」


「なぁに言ってやがる。
平助、お前はまだ傷が治ってないんだから留守番だろ」


「えぇぇぇ!!そんなぁ!」




そんな藤堂を見て沖田はにやりと笑いながら言う。




「ま、怪我人はここでおとなしく待機すべきじゃないかな?」


「総司もよ」


「なっ・・・!!」




あっさりと告げた鈴に沖田は声を上げた。




「そのとおりです。
沖田君も屯所に残ってもらいますよ。
不服でしょうが私もご一緒しますので」




それを聞いて沖田と藤堂は同時に深いため息をつく。


そんな二人を見ていた鈴と千鶴は顔をあわせてふふふ、と笑った。


そこで近藤が千鶴に問いかけた。





「雪村くん。君も一緒に行ってくれるか」


「えっ」


「千鶴を!?」


「戦場に出てくれと言うわけではない。
伝令や負傷者の手当てなど今は一人でも人手が欲しい」


「近藤さん。人手が欲しいんなら私がついていくよ?」




鈴は首を傾げて言うが近藤は首を横に振る。




「確かに鈴が着いて来てくれたら大いに助かる。
だけどそれじゃこの屯所に怪我人だけが残ってしまうだろう?
鈴にはここの怪我人を見ていてもらいたい」


「・・・・わかった」




鈴が頷くのをみて土方は千鶴に向き直った。




「別に無理にとは言わん。
行くか行かないかは自分で決めろ」


「・・・私でも何かのお役に立てるなら・・・行きます!!」





●●
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ