砂時計

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朝、千鶴が身支度をしていると襖の向こうから沖田の声が聞こえてきた。




「千鶴ちゃん。
ちょっといいかな?」


「沖田さん?どうぞ」




襖を開けて顔をのぞかせた沖田の顔はどこか疲れているように見えて千鶴は心配して声をかけた。





「どうかしましたか?
疲れていらっしゃるように見えるんですけど・・・」


「・・・まぁ僕のことはいいんだけど。
今ね一くんの部屋に鈴が寝てるんだけど様子を見てきてくれないかな?」


「斎藤さんの部屋に!?」


「ああ、勘違いしないでね。
別に変な意味で一くんの部屋にいるわけじゃないから」


「そういうことを言ってるわけじゃ・・・!!
あっ・・・そういえば鈴さんのお怪我の具合はどうなんですか?」


「当分右腕は使えないと思うけどそこまでひどくないから君が気にすることじゃない」




そう言った沖田の視線の鋭さに千鶴は思わずうつむいた。




「・・・ごめんなさい。
鈴さん私を守ろうとしてあんな怪我を・・・」


「・・・別に千鶴ちゃんを責めてるわけじゃない。
鈴は昔からああだし。

・・・いつだって、僕に守らせてくれやしないんだ」


「沖田さん・・・・」




うつむく沖田にかける言葉が見当たらず千鶴は口ごもるが沖田は顔を上げて彼にしては優しく微笑んだ。




「ともかく鈴のこと頼んだよ」


「・・・・はい」




去っていく沖田の背中を千鶴はしばらく見つめていたがやがて斎藤の部屋へと足を進めた。


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